突然オフィスを閉鎖しても、業務がそのまま遂行できる

 繰り返しになるが、Slackを導入してチャンネルを設定すれば、そこがチームで業務をこなすための仕事場となり、各チームメンバーがどこにいても、同じ空間にいるように会話を交わし、データをやりとりし、ビジネスを前に進められる。

 新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワークの必然性が高まるとともに、Slackのユーザー数が急増した理由はここにある。

「あるユーザー企業は、早くからSlackを社内で導入していたおかげで、突然オフィスを閉鎖せざるを得なくなった後も、各種承認申請や、資料・ドキュメントの共有と共同作業、業務報告、相談といった各チームの日常業務が滞りなく遂行できているとおっしゃっています。リモートワークの実践によって大切な社員を感染リスクから守るだけでなく、普段通りにビジネスを継続しておられるのです」と佐々木代表は語る。

 このように、リモートワークの環境下でもチームが一体となって業務を進められるようにするには、日頃から柔軟な働き方ができるような体制づくりと基盤整備が不可欠だ。

 実際にSlackを活用してリモートワークを成功させた例として、佐々木代表は3つの日本企業の取り組みを挙げた。

 デジタルソリューション事業やネットワークインフラ事業などを手掛けるNECネッツエスアイは、最新デジタル技術を活用した働き方改革を顧客に提案するため、自ら改革を実践。そのためのコア基盤として19年9月、全社員5000人にSlackを導入した。それぞれの社員は最も居住地に近いサテライトオフィスに出社し、Slackを使ってチームワークを行うという分散型ワークスタイルを実現していたので、新型コロナの感染拡大による業務への影響は最小化できたという。

リモートワークをしている社員からは体調管理に関する情報も送られてくるリモートワークをしている社員からは体調管理に関する情報も送られてくる

 同社は、チームの誰が、どこで働いているのかをSlack上に絵文字で気軽にリアクションして報告する仕組みも作り、リモートによる勤怠管理とともに、大切な社員の安否確認までをチャンネル上で、できるようにした。

 メディア大手のKADOKAWAグループへのICTサービス提供や働き方改革支援を行うKADOKAWA Connectedは、グループ全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を担っている。KADOKAWAにおいて組織コミュニケーションを向上させる施策としてSlackの導入を進め、19年12月にSlackの全社展開を完了し、そして20年4月には一部グループ会社を含めた約4000ユーザーにてSlackを利用している。また、従来までのスピード経営の実現に向けた会議体や運営の効率化の取り組みに加えて、意思決定のスピードを上げるため、Slack上に経営陣チャンネルを設定した。

 導入して間もなく新型コロナの感染が拡大したが、緊急対策案件に対応できるフローを事前に定義していたため、速やかに組織横断の緊急対策本部メンバーチャンネルを設けることができ、迅速な情報収集やリモートワークに関する意思決定、全社員へのアナウンスメントが可能になった。

 また、デジタルマーケティングの統合ソリューションを提供する電通デジタルは、社内コミュニケーションの質とスピードを改善するため、18年7月にSlackを全社導入した。同社は、ただでさえストレスがたまりがちなリモートワークに配慮し、勤怠報告の入力作業負担を軽減するなど、Slackの使いやすさを生かしながら働き方改革を推し進めている。

勤務報告(Work From Home)でもSlackが活用できる勤務報告(Work From Home)でもSlackが活用できる
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 この他、新型コロナウィルス感染症対策としてSlack自らも全社員のリモートワーク移行を早々に実施したが、日頃から柔軟な働き方を実施していたことにより、通常業務への影響はなかったという。

「Slackでは、例年世界中から600人以上の営業職をUS本社に集めて大規模会議を行っていますが、今年はSlackを活用してオンライン上のみで行いました。今回オンラインでの実施決定から実行まで、約4日間という短い期間でしたが、Slack上で世界中のメンバーが協力することで、速やかに準備を進めることができました。SlackはZoomなどのWeb会議ツールとも連携できるので、大規模なイベントやミーティングでもデジタルで実施し、関連する資料データや、コミュニケーションの記録を1カ所に集約することができます。社員研修などにも活用できるのではないでしょうか」(佐々木代表)

 日本でのユーザー企業が急増していることを受け、19年には大阪にもオフィスを開設。また規制の厳しい業界での需要にも対応するため、本年度3月に、国内にデータを保存できる機能の提供を開始した。

 佐々木代表は「新規ユーザーのために、Webセミナーやブログ、事例紹介記事など、さまざまなチャネルを通じて使い方のアドバイスや導入支援を行っています。Slackは、これからもリモートワークの対応を含むお客さまの事業継続と成長に向けた取り組みを積極的に応援していきます」と語った。

●問い合わせ先
Slack Japan株式会社
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