歯磨き粉の専業として
プロ向けの製品を開発
「歯磨き粉だけに特化し、研究開発や製造、販売までを一貫して行えるメーカーは、そう多くありません。蓄積された経験やノウハウ、生産体制などが評価され、多くのメーカーの製品作りをお手伝いしています」と、同社の藤野和仁・代表取締役社長は語る。
製品の約9割が、歯科医師向けであることも同社の特徴だ。いわば効能の確かさと品質の高さを口腔衛生のプロである歯科医師が認めているわけだ。
「歯科業界をはじめ、オーラル製品に関わる多くの会社さまと緊密な関係を築き、そこから得た知見を製品作りに反映させています。市販する歯磨き粉についても、効能や品質にはとことんこだわっています」と藤野社長は自信を見せる。
その同社が、最新の情報と技術、80年以上の経験とノウハウを投入して開発した自社ブランド製品が「コスミオン」だ。最大の特徴は、朝用と夜用に、成分や製法がまったく異なる歯磨き粉2種を開発したことである。
口内環境の変化に着目
朝用、夜用の2種類に
朝用の「ホワイトニングハミガキコ」は、歯の黄ばみの原因となるステイン(着色汚れ)を減少させるために、非常に細かく砕ける清掃シリカ(ケイ素)と高吸着シリカの2種類を配合。汚れ自体に吸着する高吸着シリカで汚れを覆い、清掃シリカでしっかりと除去することで、落とした汚れの再付着や落とし残しを防ぎ、徹底的な清掃が可能である。
夜用の「ナイトジェル」は、塩酸クロルヘキシジンなどの殺菌剤と歯ぐきの血行を良くするビタミンEなどを配合している。ジェル状にすることで有効成分が口中に長時間滞留しやすくなり、眠っている間に口内で繁殖する菌が抑えられ、歯周病やむし歯のリスクを抑えてくれる。
朝は歯の白さを、夜は口の中に増殖する細菌の除去をサポートするという目的に合わせて歯磨き粉を使い分けるというコンセプトは、歯周病専門医のアドバイスから生まれた。「日中と夜とでは、口内環境が大きく変わります。特に夜間は、細菌の繁殖を防ぐ唾液の分泌が減り、口内が無防備な状態になってしまうので、有効成分が長く定着する歯磨き粉が必要なのです」(藤野社長)。
また、日中は唾液が多く分泌されるため、歯周病やむし歯のリスクは夜間に比べると低いが、お茶やコーヒーなどを飲むことでステインが付着しやすくなる。そこで、朝用はホワイトニングに特化し、白い歯で気持ち良く一日をスタートできるようにした。「研磨剤を使用していないので、歯の表面に余分な負担をかけることなく、汚れだけを取り除いて自然な白さにすることを目指しました」(藤野社長)。