業務に精通した現場の人財が
DXの旗手になる

 先日1月30日に開催したカンファレンス「UiPath Forward」では、2200人のユーザーの前で「日本を元気にしたい。そのために、人財がど真ん中のデジタル・トランスフォーメーション(DX)をサポートしていきたい」とおっしゃっていましたね。

 RPAはロボットをつくるプロジェクトではありません。ロボットの使い手となる人材と組織をつくるプロジェクトであると考えています。

 いま多くの企業でDXが叫ばれていますが、その中心となるのは、デジタル技術に精通した特殊な部門の人間ばかりではありません。データサイエンティストなどの高度専門的なデジタル人財の大幅な不足が課題といわれる日本において、むしろ既存業務に精通した現場の人財こそがDXの旗手となるべきだと考えています。
 そして、その入り口となるのが業務の自動化を成し遂げるRPAであり、現場の一人ひとりがその使い手になることがDXの旗手を増やす第一歩なのです。

 また、すでに始まっている少子高齢化時代においてもRPAは有効です。ただし問題なのは、労働人口の減少ではなく、事務職が過剰になって専門職が不足する「人財のミスマッチ」にあると考えています。

 その意味でも、現場業務に精通したRPAの使い手を増やし、さらには彼らをAIやIoTなどの新たなテクノロジーとのリンクを担う、新たなデジタル人財へと進化させることが重要です。それこそが、「人財がど真ん中のDX」であると考えています。

 人財がど真ん中のDXを加速させるために、御社がやるべきことは何だとお考えですか。

 次の2つを掲げています。

 まずは、UiPathが「オープンなデジタルプラットフォームになる」ことです。進化するすべてのデジタルテクノロジーとUiPathがつながるようにしたい。RPAは、社内の既存の情報システム、汎用パッケージとつながるだけでなく、これからは、増大するAIやIoTなどのデジタルテクノロジーともどんどんつながっていきます。

 それはこれまでお話しした通り、RPAが持つ「つながる力」を最大限に発揮していくということ。企業の中にあるレガシーなシステムと新たなデジタルテクノロジーをつなぐことで、オープンなデジタルプラットフォームとしての役割を私たちUiPathが果たしていきたいと思っています。

 そしてもう一つは、「ロボット・フォー・エブリワン」です。いま多くのビジネスパーソンが使用するPCの中には、マイクロソフト・オフィスやグーグル・ジー・スイートなどのソフトウェアが入っていて、それを日常的に使っています。それと同じように、1人1台RPAロボットを所有し、熟練し、当たり前のように仕事に利用する。そういう世界をつくっていきたいのです。

 ちなみにある企業では、本社の全従業員5000人に、1人1台のロボットを導入するプロジェクトがすでに進行しています。それぐらいまでスケールすることができれば、PCの中に1000人の仮想的な部下をつけてあげるぐらいの大きなインパクトを持つのです。

 簡単・大量・繰り返しなルーチンワークはもちろんのこと、複雑・少量・多様な手作業の自動化で、業務効率は一気に高まります。さらにRPAとAIの連携によって、自動化の範囲はさらに広がっていきます。

 よって私たち人間は、ロボットにできない創造的な仕事をすればいい。時間と精神的余裕がなくて眠っていたビジネスアイデアを実行に移す大きなチャンスが生まれるのです。社員を事務作業に閉じ込めるのではなく、新たなビジネスモデルの創造者へと変える。それができれば、会社の可能性は無限に広がっていくはずです。

 ちなみに当社にはいま800社に上るお客様がいて、そのロボットの使い手は1万人ぐらいです。これを100万人にまで増やすことを計画しています。そのためにはRPAの便利さをもっと多くの人に知ってもらい、中小企業、地方、そして個人にまでユーザーの幅を広げていきたいと考えています。


 このようにUiPathがオープンなデジタルプラットフォームとなり、RPAロボットの使い手を日本中に増やすことで、人財がど真ん中のDXを実現させていきます。

 さらなる具体策があるとお聞きしましたが。

 今年の6月から順次、4つの施策を市場投入していきます。

 1つ目は「RaaS」(ロボット・アズ・ア・サービス)。RPAをクラウド経由で提供するサービスです。価格体系をより柔軟にすることでトライアルをしやすくし、RPAによる自動化を身近なものと感じていただければと思います。

 2つ目は「StudioX」。これはスプレッドシートからロボットを簡単につくれる作成ツールを提供します。

 3つ目は「UiPath Go!」。これは完成したロボットを流通できるマーケットプレイスで、すでに海外では始めていましたが、今回日本語での提供も開始することになりました。

 4つ目は「教育プログラム」。ロボットの使い手を日本中に増やすための育成システムです。1万人を教育できる体制をパートナー企業の皆様とつくります。
私たちはRPAベンダーの枠を超え、人財がど真ん中のDXに本気で取り組むことで、日本を元気にする一翼を担っていきたい。実際に行動することで、それを示していくつもりです。