米国のマクロエア社の業務用大型シーリングファンの国内販売を手掛けるオーウイル。静音性に優れた小型で軽量のファンは、大型物流倉庫などの就労環境を改善し、省エネにも貢献するほか、新型コロナウイルス対策の換気需要に対応する製品として注目を集めている。
米国カリフォルニア州に本社があるマクロエア社。その創業者であるウォルター・ボイド氏は、蒸し暑い乳牛舎の空調に課題を抱える酪農家のために、空力特性に関する豊富な知識を生かし、1998年、低コストで効果の高い大風量低速回転(HVLS)ファンを完成した。
HVLSとは、High Volume Low Speedの略で、1回の回転でファンを通過する空気の量が14立方メートル以上、ブレード先端の速度は毎時96キロメートルを超えないという基準がある。
小口英噐代表取締役会長
製品完成後、夏場の乳量低減に悩む多くの酪農家がその恩恵を受けた。HVLSはその後も改良を重ね、酪農家のみならず、世界各地の産業・商業施設で採用されるようになっている。独立系商社であるオーウイルは、そのマクロエア社の日本における輸入総代理店。2017年から販売を開始し、業務用大型シーリングファンの市場でシェアを伸ばしている。
マクロエア輸入総代理店契約取得のきっかけは、商社として牛乳を大量に扱う同社にとって、夏場の乳量低減は自社の問題だけでなく、酪農業界全体の課題としての認識があった。「HVLSが日本の酪農業界における課題解決の一助となれば、という思いがあったのです」と、オーウイルの小口英噐(おぐちひでき)代表取締役会長は語る。
長寿命と高い静音性
軽量化を実現
飯田裕之第三営業部長
HVLSの特長は、大量の空気を動かして、自然に近い穏やかな気流を作り出すことにある。風速毎秒2~3メートルの風で、体感温度が3~5度低下、室温のむらが無くなり、どこに居ても心地よさを感じられる空間になる。夏場は熱中症などの予防、冬場は暖房効率の向上にも役立ち、空調に関わるエネルギーコストの大幅な削減に貢献する。圧迫感のないスマートなシーリングファンで、静音性も高いため、快適な就労環境が実現するのだ。
改良を重ねているHVLSの最新バージョンは、「エアボリューション-D」である。
HVLSの販売を担当する、オーウイルの飯田裕之・第三営業部長は、「この製品の特長はモーターにギアが付いていないこと。独自開発したダイレクトドライブモーターを採用し、可動部品はわずか二つというシンプルな構造になっています。小さくてもパワーの出るモーターで、従来のギア駆動モーターに比べると、静かで軽量。ギアボックスが不要なため、オイルの補充や漏れの心配もなく、メンテナンスフリーで5万稼働時間保証という長寿命を実現しています」と、その優位性を説明する。
右:3D気流シミュレーター「AirViz」で気流の動きを事前に確認、より効率的なファンの設置を提案する
拡大画像表示
さらに「エアボリューション-D」は、天井から床面に向かって気流を発生させる「順回転」に加え、冬場に最適な「逆回転」機能も搭載している。天井に滞留した暖かい空気を引き寄せ、床面へ循環させて省エネにつなげる“熱回収”システムを備えているのだ。