強大な空気推進力で
コストを大幅削減
拡大画像表示
もう一つの大きな特長は、NASAの空力技術を取り入れたブレードの形状にある。
「軽量で耐久性の高い押し出しアルミニウムを用いた中空構造で、エアフォイル(飛行機の翼)を応用して設計されています。その場で回転すると、ブレードが通過した後に大きなダウンフォースが発生、空気を前に押し出す扇風機と違って、空気抵抗が少なく滑るように回転するため、ブレードの大型化が可能になったのです」(飯田部長)
ギアレスのモーターとエアフォイル形状のブレードで抵抗なく回転するため、空気をパワフルに循環させるにもかかわらず、消費電力は「蛍光灯程度」で済むという。
エアコンとの併用によって空調コストはどの程度削減できるのか。例えばスペインのバレンシア空港では、「エアボリューション-D」の採用(4645平方メートルに対して24基のファンを設置)で、夏季は4~5度の冷却効果がもたらされ、空調にかかるコストを最大30%削減。冬季も「逆回転」を利用して暖められた空気をフロアに循環させ、空調コストを最大40%削減、年間コスト削減額はトータルで約2200万円に及ぶという(マクロエアテクノロジーズ調べ)。
右:出入り口が大きな自動車整備工場など、エアコンだけでは冷暖房効率が悪い所でも導入されている
気流をシミュレーション
就労環境を向上させる
現在オーウイルでは、大型物流倉庫をはじめ、食品工場やスポーツジム、商業施設などにHVLSを販売している。導入の条件は、天井高が約4メートル以上ある空間だ。
拡大画像表示
特に近年需要が高まっている大型物流倉庫では、就労環境がよくない倉庫には人が集まらず、エアコンだけでは大空間で冷暖房の効率が悪いために、HVLSへの関心が高いという。高温多湿な日本の室内環境では、大風量での空気の循環は湿気を防ぐためにも役立つ。
近々の導入事例では、東京・昭島にオープンした、アウトドアに特化した複合商業施設「モリパークアウトドアヴィレッジ」の屋内広場に、夏場の熱中症対策として採用。集約化・大規模化が進む北海道の酪農家への導入も決まっている。
右上:換気の需要がある所、天井高があるスポーツジムなどでも導入が進む
右下:人の集まるレストランなども多数導入
拡大画像表示
「海外では、各種ホールやレストラン、ホテルや空港、コミュニティー施設や各種工場で使われています。エアボリューション-Dは、狭いスペース向け、中型・大型スペース向け、大規模空間向け、という3種類の製品をラインアップし、見取り図で風の流れをシミュレーションし、3D画像で気流を可視化するなどして、施設に合わせて最適な機種と設置プランを提案しています。マッチングには自信があり、あらゆる場所で快適な空間を実現しています」
そう語るのは、オーウイルの伊達一紀代表取締役社長だ。
特にエアボリューション-Dは、ファンのつり下げ重量も軽く、建物の躯体に負担が少ないため、取り付けもスムーズだ。デジタルタッチパッドコントローラーを採用し、アイコンにタッチするだけで20段階のスピード調整や、回転方向の切り替えができるなど、ファンの操作がしやすいことも評価されている。