ブランド戦略を成功に
導く3つのポイント

 企業資産を活用したブランド戦略を成功させるには、経営戦略におけるブランド戦略の位置づけを正確に理解することが重要だ。ブランド戦略は、事業戦略とマーケティング4P施策を整合させる核である。

 つまり、人、モノ、金という経営資源の配分戦略と、4P施策を整合させ、顧客に一貫性ある価値を感じさせて選ばれることがブランド戦略なのである(下図参照)。 

図2 ブランド戦略とはCopyright 2012 Insightforce, Inc. All rights reserved. 無断転載は禁止させていただきます。

 ブランド戦略は事業戦略の後押しになる半面、制約にもなることがある。たとえば、「○○工場製」というような特定の工場ブランド訴求を核に据えたテレビの場合、工場が海外移転してしまえば、品質の根拠も失われる。

 そのため、事業環境の変化によって工場移転や製造アウトソースが求められても、その変更は大きな代償が伴い、ブランド戦略が事業の足かせになりかねない。商品ブランドに活用する企業資産は、長期的に投資を継続する覚悟のあるコアコンピタンスであることが重要だ。

 ブランドの提供価値が、消費者が理解できる概念や言葉に落とし込まれていることも不可欠である。工場の生産設備の優位性の話をしても、関心のない一般の消費者には響かない。

 むしろ、工場の立地名称のほうが優位性として差別化に機能した事例があるほどで、技術にしても、コンセプトにしても、いかに消費者の目線からブランドの提供価値を容易に理解できる「言葉と概念」にまとめるかは、ブランドの提供価値設計における要となる。

 ブランド戦略は、策定プロセスから各部門を巻き込んでいくことが成功につながる。ブランド戦略検討への参画によって心理的な賛同が高まるのはもちろんのこと、多様な部門が戦略策定に携わることで、実現可能性が高く、より現実的で優れたプランが生れるからだ。

 創業世代が在籍している企業では、創業者自身の暗黙知のポリシーが一貫したブランド戦略の代替となって機能していることは多い。創業世代の退任はブランド戦略が崩れやすいタイミングとなるため、予め形式知にして社内浸透させておくことが重要だ。

 創業世代が退任した企業ではさまざまな社内政治が発生し、部門横断・巻き込み型の戦略策定が難しいケースが少なからず見受けられる。この社内調整を打破し、多くの当事者達を巻き込んでまとめることは、ブランド戦略成功の大きなポイントになる。

 頭では分かっていても、ブランド戦略がうまく実行されない原因は組織問題であることが多い。