デジタル時代にふさわしい営業改革手段としてのMA活用
最後に、MAツールによる行動捕捉によって、生産性と顧客満足度の向上を実現した例を紹介しよう。これは既存顧客からの問い合わせに対応するコンタクトセンターで、MAツールを導入したC社の事例である。
C社では、Pardotを活用して、顧客がウェブサイトを閲覧している状況をコンタクトセンターの社員がリアルタイムでモニタリングしている。顧客が見ているページやページ遷移の様子をモニタリングしていると、どのような情報を収集しようとしているのか、どのタイミングで電話による問い合わせをしてくるのか予測がつくようになった。
そこで、C社のコンタクトセンターでは、顧客から電話がかかってくる前に、顧客が必要としていると思われる情報を事前に整理し、問い合わせに備えるようにした。その結果、Pardot導入前には1件当たり12分かかっていた問い合わせ対応時間が、導入後には約半分の6分8秒に短縮されたという。
また、実際に電話での問い合わせに至らなかった場合でも、コンタクトセンターの社員が営業担当者に「お客さまの●●さまは、こんな情報に関心があるようだから、フォローの電話をしておいてください」と共有するようにした。
顧客企業の側では、自分から問い合わせをする前に営業担当者から「何かお困りごとはありませんか」「お役に立ちそうな情報がありましたので、連絡いたしました」と電話でのフォローが来るようになり、満足度が大いに高まった。
このように、MAツールで顧客行動を把握することによって、顧客ニーズの捕捉率の改善ばかりでなく、受注率や単価など売り上げに直結する指標の改善、さらには生産性や顧客満足度の向上など、さまざまな成果を期待できる。だからこそ、「デジタル時代にふさわしい営業改革の手段として、MAツールの活用が改めて注目されている」(広瀬氏)のである。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、情報収集や問い合わせ、商談など顧客行動のオンラインシフトに拍車が掛かる中、MAツールの導入を検討する意義はますます高まっているといえそうだ。