業界屈指のブランド数と運営実績を生かし、新規店舗開発・事業再生・フランチャイズを展開するソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ。コロナ禍でもブランド価値を毀損することなく着実な運営を行い、「事業再生支援チーム」を発足して宿泊施設と地域経済再生をサポートしている。
井上 理代表取締役社長
ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツの井上理〈いのうえただし〉代表取締役社長は、コロナ禍以前から日本のホテル業界は需給のバランスが崩れていたと指摘する。
「2014年の頃は需要に対してまだホテル数が少なく、インバウンドが増える中で客室料金が上昇するという時代があったのです。その後、利回りの良い不動産投資としてのホテル投資が盛り上がって加速度的にホテルの軒数が増え、さらに民泊も加わり、19年にはすでに需給バランスが崩れ供給過多の状況になっていた。コロナ禍はその悪い状況に拍車を掛けてしまったのです」
供給過多の傾向が顕著だったのは、同社が主力のマーケットとしているビジネスホテルの分野。そのため同社ではコロナ禍の前から、既存のビジネスホテルとの差別化を図り、既成概念にとらわれない新規ブランドを次々と立ち上げ、厳しい生き残りの時代に備えていた。
「現在はコロナ禍で全般的に需要が落ち込み、もはや特定のホテルがもうかるという世界ではありません。私たちのホテルができることは、お客さまにきちんとした接客をして満足していただくこと。そのため値下げ競争に加わることなく、ブランド価値を維持したいと考えています」
価格を維持して稼働率が低くなっても、価格を下げて稼働率を高めても、掛け算をすれば収益に違いはない。価格を下げると客層が変化し、むしろ従業員が別の対応を強いられることになって運営コストが増える。そもそも一度下げた価格は元に戻すのが難しい。故に同社が運営するホテルでは、コロナ禍の中でも“平時”のスタンスでサービスを提供し続けている。