IDCは、世界のデータ生成量が18年の年間30ZB(ゼタバイト)から、25年には175ZBまで激増すると予想しています。ちなみに1ZBは10億TB(テラバイト)ですから、HDD容量が1TBのパソコンに換算すると、約1450億台分のパソコンが満杯になるほどデータ生成量が増える計算です。
データが激増すれば、収集・保存が追い付かなくなり、有効活用が困難になるのは言うまでもありません。そこで、世界の企業はこの状況をいかに捉え、どのような対策を講じようとしているのかを知るためにグローバル調査を行ったのです。
調査対象は、アジア太平洋および日本、中国、欧州、北米企業のCIO(最高情報責任者)やCTO(最高技術責任者)など、役員クラスからIT部門のスペシャリストに至る1500人です。
68%ものデータが、活用されないままになっている
――興味深い調査ですね。どのような結果が表れたのでしょうか。
新妻 主なポイントは2つあります。まず、調査対象の中でも大企業のデータ生成量は、2020年から22年までのわずか2年間で年間42.2%ずつ増加することが明らかになりました。IDCはその主な要因として、IoTデバイスの普及や、データ分析への活用の広がりに加え、マルチクラウド(複数のクラウド)での保管が進むことを挙げています。
実際、無秩序に増加するデータを何とか格納しようと、保存先をマルチクラウドやハイブリッドクラウドに分散する動きが広がっています。
しかし、保存場所が分散すればするほど、一元的な管理や活用は困難になります。そのため、6割前後の回答者は、この先2年間で予測される最大の課題は、「マルチクラウド環境とハイブリッドクラウド環境でデータを管理すること」であると答えています。
特に日本企業の場合、もともと部門ごとのデータがサイロ化している傾向が強いので、より大きな困難にさらされる可能性が高いといえます。
――もう一つのポイントは何でしょうか。
新妻 企業が利用できるデータのうち、実際に活用されているのはわずか32%にすぎないという事実が明らかになったことです。
そもそも、企業が業務で収集できているデータ量は生成量の56%にとどまっており、実際に使用されているのは、そのうちの57%にすぎません。未収集と未活用のデータを合わせると、実に68%ものデータが活用されないままになっているのです。
先ほど、世界のデータ生成量は加速度的に増えるという予測を示しましたが、どんなに技術が進歩しても、保存容量の伸びがその勢いを上回ることは難しく、保存できるデータの割合は年々下がっていきます。IDCは、25年に生成される175ZBのデータのうち、保存できるのは1割以下のわずか17ZBにとどまるだろうとみています。
データ分析では、より多くのデータを掛け合わせるほど精度が上がり、適切な経営判断が下せるようになります。逆に、保存できないデータや、活用できないデータがあまりにも多いと、競争上不利な立場に追い込まれかねません。
この課題に対応するために、シーゲイトは、「CORTX」という新たなデータ活用ソリューションの提供を開始しています。