データサイエンスと社会
衛星からのデータで都市の光量を分析し
経済活動を把握する
立正大学
データサイエンス学部 白木洋平教授(就任予定)
データサイエンス学部 白木洋平教授(就任予定)
来春データサイエンス学部に就任予定の白木洋平准教授は、現在地球環境科学部環境システム学科に所属。研究テーマは、情報技術を用いた都市環境の空間分析、リモートセンシングを用いた広域環境変化のモニタリングおよび解析だ。
「例えば、NASAなどによって打ち上げられている地球観測衛星ランドサットの画像を解析して、都市のヒートアイランド現象などを研究しています。ランドサットの画像は複数の波長の情報を取得しているので、例えば関東地方の地表面の温度分布や都市の拡大が分かります。それらの画像を経年で分析することで、人間の活動が地球環境にどのような影響を与えているか、都市の面積の拡大には限界があることなどが分かります」
ランドサットは1972年の1号機以来、現在8号機まで打ち上げられており、撮影された画像データは膨大な数になる。その情報を目的に合わせて取捨選択し、有効に活用するためには、データサイエンスの技術が必要になる。
データサイエンス学部では、ビジネス・観光・スポーツなどさまざまな分野の教員が所属するため、他分野とのコラボレーションによる新しい価値創造を期待している。
「例えば、米国にはDMSP(防衛気象衛星計画)という衛星があり、これを利用することで世界の都市の光量を観測できます。それを経年で見ると、東京の明るさに変化はないのに、アジアの諸都市の光量が著しく増えていることが分かります。光量は経済活動に比例するので、不確実な経済指標よりも信頼が置けたりする。その他、気象衛星画像を観光事業に生かせる可能性もあり、新学部では多様なコラボレーションに積極的に取り組んでいきたいと考えています」
ランドサットによる2019年8月17日の関東地方の熱画像データ。温度分布を分析して都市化との関連性を研究する