自治体経営好循環の証しふるさと納税日本一 ※1

成功の鍵は「都城=肉と焼酎」

 ふるさと納税の対応見直しでは、まず、都城のPR材料を「肉と焼酎」に限定した。

 都城市は畜産が盛んで、肉用牛・豚・鶏の畜産品の総産出額日本一※2と、焼酎売上高日本一の酒造メーカー・霧島酒造※3という、1自治体として二つの日本一があるからだ。また、寄附金を集めることが第一目的ではないため、返礼割合を高めに設定。

「返礼品を日本一の肉と焼酎に特化することで、都城がどんな町であるかを発信することに、それこそ特化しました」

 その結果、寄附額は右肩上がりに伸びていき、15年度は42億円、16年度は73億円で、2年連続日本一となった。16年度以降は、地場産業の振興という観点から、他の地場産品も返礼品メニューに加えている。

 次に、寄附者に都城のファンになってもらう仕組み作りに腐心した。

 例えば現在、返礼品の提供事業者115社のうち、約40社と市職員で毎月幹事会を開催し、全事業者に情報共有を行い、ふるさと納税の推進に資するPR事業やCS向上事業に取り組んでいる。また、市主催の全事業者向け研修会を開催し、人気商品やクレームなどの情報を共有。その情報などを基に、事業者は改良や開発に取り組み、製品としての品質向上に力を入れるようになった。

「寄附者は都城という町に関心を寄せてくれた人ですから、質が良い返礼品を体験してもらうことが大切です。そのために市も産業の高度化を支援する。地場の事業者が全国で戦える知識や仕組みを獲得できてこそ、ふるさと納税制度の趣旨に応えられたと胸を張れます」

 18年度末には、市が公式オンラインショップを開設した。規模の小さい事業者でもeコマースなどのデジタル化の流れに乗れるようにするためだ。

「寄附金は財源として本当にありがたい。子ども支援では、医療費助成の対象を小・中学生にまで大幅に拡大でき、放課後児童クラブも年間1~2カ所の開設ペースを4~5カ所に上げられました。さらに総額30億円の小中学校の全教室へのエアコン設置も単年度でやり遂げられ、新型コロナ禍で財源確保が難しくなる中でも事業を継続できました」

※2 農林水産省「市町村別農業産出額(推計)」
※3 帝国データバンク

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