自社製品の開発や受託開発のサブスクリプション化も
進化の早いIT業界では今、最先端のトレンドを追い続ける会社と、一つの事業領域で安定を求める会社との二極化が進んでおり、キャパは前者に当たる。
「価格競争には加わりたくないので、レッドオーシャンからは迅速に撤退します。そのためiPhoneアプリの開発など、採用のときにあった事業が入社したら無くなっていたという例もあります。その代わり最先端の分野には積極的にチャレンジします。今シリコンバレーではコンテック、つまり建設業界のIT化が注目され、日本にもその波がやって来ようとしている。当社が注力しているのはまさにその分野、最先端の領域に挑戦しているといえます」(小甲社長)
創業は1982年、今年38年目を迎える老舗企業でありながら、社員の平均年齢が33歳と若いのも特徴だ。2020年度の経営方針で同社が掲げたビジョンは、“SEが魅力的な職業になっている”“イノベーションを起こすサービスを展開している”の二つだ。
「これからの10年で達成したいのは、イノベーションによる自社製品の開発や、受託開発のサブスクリプション化を通して、人月(にんげつ)ビジネス※を脱却し、売上比率を51%にすること。これまでの労働集約から、SEの人数で売り上げに限界の来ない資本集約の技術にシフトしたいと考えています」
社員に求める資質は、仕事を楽しめること。数年前からモチベーションサーベイを採用、社員の意識を高めながら、残業するなど、労働環境の改善にも積極的に取り組んでいる。19年度からはグローバル採用を開始、現在4人のベトナム人が働いており、30年には海外売り上げを20%にするという目標も掲げている。
「未来を予測するのは困難ですが、私たちが今できるのは、顧客に向き合って成長すること。自分たちの意志で変革を楽しみ進むこと。ビジネスモデルの基盤を変革しながら、幾つものブルーオーシャンを開拓していきたいと考えています」(小甲社長)
※人月ビジネス…… 1人が1カ月働いた作業量を「1」とし、遂行能力の基本的な手掛りとして用いる業界用語。