「すでにイランは核兵器開発技術を20年前に習得しています。あの男(ファクリザデ氏)は確かに重要な存在でしたが、今では必要不可欠ではありません」

 米国家安全保障会議のメンバーを務めCIAや国防省の職員だったブルース・リーデル氏は米誌ザ・ニューヨーカーのインタビューでそう証言している。

 核兵器製造技術をすでに習得したイランは、2003年の欧州諸国との核合意以降、もっぱら核爆弾の“燃料”となるプルトニウムや濃縮ウラン製造にシフトしているというのだ。

 イラン原子力機構の現在のリーダーは米マサチューセッツ工科大学(MIT)卒のアリー・アクバル・サーレヒー氏で、ファクリザデ氏は国防省の研究組織に異動になっていた。

トランプ大統領の任期中に
イラン包囲網を強化

 では、なぜそんな人物をこのタイミングで暗殺する必要があったのか。

 最大の理由は、おそらくアメリカ大統領選でのトランプ大統領の敗北と来年早々のバイデン新政権の誕生だろう。

 アメリカの安全保障よりも自分の損得勘定を最優先するトランプ大統領は、大統領就任以来あからさまにイスラエルのネタニヤフ首相とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子に肩入れしてきた。

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金もうけ優先のトランプ一家

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