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中東を揺るがした5週間
2026年2月28日、世界は再び戦火のニュースに包まれた。アメリカとイスラエルは、イランに対する大規模軍事作戦「壮絶な怒り作戦」を開始。その攻勢は凄まじいものだった。
最高指導者ハメネイ師の殺害、核施設へのピンポイント爆撃、さらには革命防衛隊幹部の相次ぐ排除。米イスラエル連合軍は圧倒的な進撃を見せ、トランプ大統領はその成果を「歴史的な勝利」として誇示してみせた。
しかし、その約5週間後の4月8日、事態は急転する。アメリカはイランからの停戦要請に応じ、2週間の停戦が実施されたのだ。ホルムズ海峡の開放を条件にしたこの停戦は、表面上こそ「痛み分け」に見える。
イスラエルによるレバノン攻撃で停戦への道のりは不透明さを増しているものの、アメリカとイランの両国が停戦に向かおうとしているのは間違いない。
冷静に現状を分析すれば、ホルムズ海峡を事実上占拠し、石油価格の高騰という「世界の首根っこ」を握り続けるイランが、実質的な主導権を確保したようにも映る。
だが、この戦争の真の勝者と敗者は、単純な軍事的損得では測れない。そこには、表舞台で沈黙したNATO、裏舞台で暗躍した中国とロシア、そして国内で複雑な葛藤を抱えるイラン正規軍(アルテシュ)が絡み合い、今後の世界秩序の行方を決定づけようとしている。
攻撃の本質は「中国包囲網」と「脱ドル体制の解体」
この戦争がなぜこのタイミングで起きたのか。それを理解するヒントは、2026年1月のベネズエラ作戦におけるルビオ米国務長官の言葉にある。
「アメリカはベネズエラの石油を必要としていない。十分に足りている。我々が許さないのは、ベネズエラの石油が中国、ロシア、イランに支配されることだ」
この論理は、今回のイラン攻撃にそのまま当てはまる。2025年時点で、ベネズエラの原油輸出の半分以上、そしてイランの原油輸出のほぼ全量が中国に向けられていた。両国を合わせれば、中国の原油輸入量の約15%を占める計算になる。







