イランの核科学者モフセン・ファクリザデ氏の葬式
Photo:Anadolu Agency/gettyimages

暗殺された
イランの核科学者

 中年をとうに過ぎて白髭と太鼓腹が目立つ男は、妻と共に首都テヘランから東に70キロほど離れたアブサードに向かって快適に車を走らせていた。新型コロナウイルスの影響で普段の大渋滞がなかったからだ。

 アブサードはリンゴやサクランボなどの果樹園で知られる人口9000人ほどの町で、中東にしては緑豊かな別荘地でもある。現地に住む親戚たちと安息日をゆっくり過ごすのを楽しみにしていた。

 だが、郊外でラウンドアバウト(環状交差点)にさしかかったところで事件が起きた。

 目前に駐車していた青色のトラックが突然爆発。同時に複数の銃弾が彼の身体に撃ち込まれたのだ。ヘリコプターで緊急搬送されたが大量出血で息絶えた。11月27日のことである。

 地元の精鋭部隊・革命防衛隊に近いファルス通信によれば、殺害は遠隔操作による自動式機関銃を使って無人で行われたという。周到に計画されたわずか3分間の暗殺劇だった。