独立系商社・阪和興業は、2021年度から始まる新たな中期経営計画で「人財強化」を最重点施策に設定した。既存事業だけでなく、新事業、アジア展開の拡充を受け、グローバルで多様性に満ちたプロフェッショナル人材の育成を本格化する。
鶴田秀行 人事部長 兼 健康経営推進室長
「阪和興業」は鉄鋼を中心に、リサイクル原料・プライマリー原料、食品、石油・化成品、木材、機械などの事業を展開する商社だ。今、事業方針を率直かつ分かりやすい言葉で示す古川弘成社長の下、独立系商社として、それぞれの業界で存在感を増している。
例えば、中堅・中小企業との取引では「即納・小口・加工」機能が重要なポイントになるが、古川社長は、それらの頭文字をとって「そこか」と表現。その上で「そこか事業は効率化する努力を続けることで当社の存在価値が出て、結果的に生き残れる」と語る。
その阪和興業は2020年11月、21年度から始まる「第9次中期経営計画」を発表した。最重点施策の一つとして掲げたのが「人財強化」だ。具体的には、①経営人材の育成、②プロフェッショナル&グローバル人材の育成、③人材アセスメント、④人材ダイバーシティーの4テーマを設定した。
経営人材の育成では、企業経営に必要な知識やスキルの計画的な教育体制を整え、若いうちにグループ会社などで経営の一線を学ぶ「武者修行プラン」を導入する。プロフェッショナル&グローバル人材の育成では、企業内大学「阪和ビジネススクール(HBS)」を創設。併せて研修予算を大幅に増やす。
同社の鶴田秀行人事部長は、「当社では元々、各部門が自前で教育プログラムを作り、人を育てるなど自主的な活動が盛んでしたが、それに外部の力も活用して人材育成のギアを一段階上げます。社員1人当たりの研修予算は従来に比べて3倍を予定しております」と語る。阪和興業には、若いうちに半年間、総合職を海外の支店などで勤務させる「トレーニー制度」があり、毎年5~6人を派遣している。グローバルで多様な能力を備えたプロフェッショナル人材の育成に、拍車が掛かっている。