売上、役員報酬が倍増するケースも
同社の強みは、「製造業」「建設・不動産業」「ヘルスケア」など特定の業種に特化していることだ。それぞれの業種で豊富な経験と実績を積んだアドバイザーが、専任で担当する。業種特有の知識とスキル、ネットワークの広さにおいて、他の追随を許さない自信を持っている。
製造業を担当する齋藤社長は、「価格競争が激しくなる中で、原材料や人件費が上がり続けています。高い利益率や付加価値を持っていても先行きの不安を抱える経営者が多いのが、製造業の特徴です」と説明する。
松尾直樹
代表取締役副社長
「最近は地方で成功している企業が、商圏拡大のために大都市圏の同業他社を買収、あるいは投資会社(ファンド)が特色ある製品を作っている企業を買収するケースが増えています。いずれにせよ、独自の技術や製品を持っている会社は人気が高く、成長型M&Aの買主候補は数多くいます」
建設・不動産業を担当する松尾副社長は、隣接業種での成長型M&Aが増えていると言う。
「躯体の電気工事を行う中堅企業が、仕上げを担当する電気工事会社を買収したケースがあります。売主の社長はまだ40代、当初事業を売却する気は全くなかったのですが、リスクを排して会社を成長させる選択としてM&Aの受け入れを決意。譲渡後は、管理や経理業務を親会社に任せて現場と人材育成に専念した結果、売上は約2倍、社長の役員報酬も約3倍になりました。買主も電気工事を一括受注できるようになって投資額を約2年で回収、双方の成長につながったのです」
徳丸祐也
執行役員
ヘルスケア業界での案件は、主に調剤薬局の分野になる。担当する徳丸祐也役員は、「調剤薬局業界は、規模の経済が働きやすいこともあり、M&Aが盛んな業界です。今、買手として準大手の調剤薬局やドラッグストアが活気づいています。最近の傾向としては、病院立地に依存しない調剤薬局や、在宅医療、地域連携などで特徴を持つ調剤薬局の人気が高い。また、会社によっては、将来的にマネジメントを担ってもらうことを視野に入れて、優秀な経営者がいる会社を評価する傾向があります。私が手掛けた『成長型M&A』の事例では、エリアで十数店舗を運営する30代オーナーが、準大手と一緒になり、スケールメリットを生かして共に事業を拡大しています」と説明する。