「公共トラックターミナル」としての機能提供により、日本の物流を支えてきた日本自動車ターミナル(JMT)。経済活動におけるEC(電子商取引)化が急速に進む中で、立地優位性をはじめとするポテンシャルが開花。トラック事業者にとどまらない顧客層の開拓が進んでいる。
日本の物流の約9割を担うトラック輸送。その円滑なモノの流れを下支えするために、不可欠な役割を果たしているのが「トラックターミナル」だ。その中で、日本自動車ターミナル(JMT)は、東京23区内に4カ所ある公共トラックターミナル(以下、ターミナル)の運営を通じて、東京と地方とを結ぶ”結節点”として、物流効率化に貢献してきた。
JMTの秋山俊行社長は「1965年の創立以来、ターミナルの運営を通じて、東京の物流効率化や都市機能向上のみならず、大消費地である東京と地方との経済をつないできました。特積トラックと呼ばれる長距離幹線輸送を手掛ける運送事業者(以下、特積事業者)に、使い勝手が良い施設を適切な料金で提供する。それが、これからも変わらぬ当社の”レーゾンデートル(存在理由)”です」と語る。
ただ、創立から50年以上が経過し、物流を取り巻く環境は大きく変化している。近年の人口減少など厳しい社会情勢の中、都内一等地にあるターミナルを維持し続けていくためには、新たな戦略が必要だった。
秋山俊行
代表取締役社長
そこで、創立50周年を迎えた2015年、第2の事業の柱とすべく、本格的に物流センター事業に乗り出し、幅広い顧客層の開拓に打って出た。
その第1弾となったのが、18年7月に京浜トラックターミナル(東京都大田区)内に竣工した「ダイナベース」である。延床面積約9万7000平方メートルという都内有数の規模を持つ同施設は、その圧倒的な立地優位性もあり、竣工前に満床契約となる幸先の良いスタートを切った。主要テナントは医薬品卸大手の東邦ホールディングス(東邦HD)で、同社は首都圏を網羅する中核物流拠点としての運営を開始している。「創立以来のコア事業であるターミナル機能を将来にわたって持続的に提供し続けていくためにも、土地の高度利用によって当社の経営基盤を強化していく必要がありました」と振り返る。