もはや、宅配便だけではない――。佐川急便を中核とするSGホールディングスグループの変革が大きな果実を実らせつつある。サプライチェーンの全領域を視野に入れた、顧客起点のソリューション事業が急速に拡大。その象徴である「GOAL」は、グループの営業手法を大きく変えた”革命”でもある。
山本将典
執行役員/営業開発部 部長
佐川急便の事業領域が急激に拡大している。宅配便や小口貨物のイメージが強い同社だが、近年は「運ぶ」以外のロジスティクス全般も幅広く手掛け、顧客のサプライチェーン(SC)上の課題や困りごとを解決に導くソリューション企業へ変貌を遂げている。そのけん引役となっているのがグループ横断による先進的ロジスティクスプロジェクトチーム「GOAL」の存在だ。
GOALとは「GO Advanced Logistics」の略で、佐川急便を中心にSGホールディングスグループの各事業会社の社員がチームメンバーに名を連ねる。2014年の活動開始以降、順次チーム規模を拡大し、現在は約300人を擁する大所帯に成長した。
チームを率いる佐川急便の山本将典執行役員は、GOALの活動を始めた目的について「佐川急便の本来の得意領域はSCの川下であるラストワンマイルですが、物流のマーケットはそれだけにとどまりません。そこで、ロジスティクスや国際物流、システムなどさまざまな機能や強みを持つ各事業会社と横串による連携を強化することで、グループ全体で事業領域を拡大していくことを目指しました。その中で、強く意識しているのは、モノの流れの全てに関わっていくこと。具体的には調達や製造、在庫、加工などSCの川上の領域を取り込んでいくことです」と語る。
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発足から約7年がたち、GOALが手掛けたソリューション案件は法人数で5000社を優に超える。その膨大な案件数を生み出す”装置”ともなっているのが、全国各地に約3万人いるセールスドライバー(SD)だ。「SDは、地域やお客さまに密着した日々の活動の中で、お客さまからさまざまな困りごとなどを相談されます。それをGOALチームが吸い上げ、課題の内容に応じたチームを編成し、お客さまに最適な解決策を提示する――というのが活動の典型的な流れです。これまでに手掛けた成約案件の約6割が、現場の第一線に立つSDからの情報が基になっています」(山本執行役員)という。