1991年にKDDIをはじめとする県内有力企業の出資で誕生した沖縄セルラー電話(以下、沖縄セルラー)。積極的な設備投資により、モバイルとFTTH市場で高い県内シェアを誇る。海底ケーブルの新設、アグリ事業やオンライン診療の普及にも尽力、地方における通信キャリアの理想の姿を追求している。
トップシェアを取れている理由
沖縄セルラーはKDDIの子会社で沖縄県においてauブランドを中心としたモバイル系と固定系・FTTH(光ファイバーによる家庭向けデータ通信サービス)を提供する、総合通信事業者である。
モバイルのシェアは約5割に達し(※1)、FTTHも3割(※2)のシェアを持つ。沖縄電力と業務提携して2019年11月に提供を開始した新サービス「auでんき」も急成長している。
湯淺英雄 代表取締役社長
なぜ沖縄セルラーは、大手通信キャリアを抑えて、地元で大きな力を持つのか。
「他社は“沖縄支店”ですが、私たちは沖縄が全て。ネットワークづくりにかなりの設備投資を行っているので、品質が非常に良く、つながりやすく速いという評判があります。それがトップシェアを取れている大きな理由。もう一つは、沖縄セルラーが県内有力企業43社の出資によって誕生した会社であること。いわば、沖縄県の企業と県民に支えられてきた“県民の企業”であり、それが大きな支持につながっているのです」
そう語るのは、沖縄セルラー湯淺英雄社長だ。沖縄県の特色としては、30年まで人口増加が継続すると推計されていること。若年層の割合が全国トップクラス(※3)であり、マーケットはさらに拡大すると見込まれている。
※1 TCA(電気通信事業者協会)「事業者別契約数」、沖縄総合通信事務所「ICT関連指標」の資料に基づく
※2 総務省:電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表に基づく
※3 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2018年推計)」、総務省「人口推計(2016年10月1日現在)」を参考