「社員の気持ちに寄り添う」という精神論とは一線を画し、「成果の上がる組織をつくる」理論を展開する識学。そのメソッドを導入した企業の多くが業績を短期間に上げている。識学の安藤広大社長が著した『リーダーの仮面』には、若手リーダー向けのマネジメントのノウハウが凝縮されている。
「『識学』とは、組織内の誤解や錯覚がどのように発生し、どうすれば解決できるか、その方法を明らかにした学問です。当社はその『識学』という意識構造学を通して、多くの組織の問題を解決してきました」。そう語るのは、識学の創業者である安藤広大社長だ。
2020年12月時点で約2000社が「識学」を導入。識学自身がその考え方を実践して創業わずか3年11カ月でマザーズ上場を果たし、19年度に新規上場した会社のうち、約10%にあたる7社が「識学」を導入するなど、今、会社を成長させる革新的な組織論として注目を集めている。
その安藤社長が、昨年11月に上梓したのが『リーダーの仮面』という書籍。「識学」のメソッドを基に、若手リーダー(中間管理職)に向けてマネジメントのノウハウを伝えるものだ。
「最初の部下との接し方が、マネジャーとしてのキャリアの原点になります。その第一歩目で、うまくやれるか失敗するかで、その後の人生に大きな差がついてしまう。往々にして、プレーヤーとして優秀だった人であればあるほど、リーダーとして失敗するリスクを抱えている。その事実に気付いてもらうために、この本を書いたのです」と安藤社長は語る。
“リーダーの仮面”とは、リーダーにはリーダーの役割を果たすための仮面がある、という考え方だ。あえて素顔を見せず、リーダーとしての仮面を利用することで、優れたマネジメントが可能になり、チームの成果を最大化させることができる、と安藤社長は主張する。
重要なポイントは、部下に好かれる“いい人”になろうとしないことだという。