「上司と部下の関係性は、あくまでも会社内のルールで規定された関係です。ひとたび会社の外に出れば、1対1の関係に戻り、そこに上下関係は存在しません。つまり会社では、ルールの決定者である上司と、そのルールに従う部下という役割に徹すればいい。そこに人間性を持ち込むと、好き嫌いの要素が入ってきて、社内の混乱を生み出してしまうのです」(安藤社長)
上司と部下は、社内での立ち位置が違う。上司は“未来の”部下や組織にとって、利益のある存在でなければならない。今この瞬間、部下に気に入られる“いい上司”である必要はない。むしろ今の部下にとって、冷たく見える上司が良いリーダーであったりもする。
「かつての私もそうだったのですが、自分が部下の立場になって、どういう上司であればうれしいか、を考えて行動してしまうのは最悪です。手取り足取り指導する人は、一見優しくていいリーダーに見えますが、メンバーは思考停止して、成長しません。一方、『俺の背中を見て覚えろ』と言う人は、実はリーダーとしての責任を放棄し、役割を果たしていないのです」(安藤社長)
部下やスタッフを持つと、全く違う次元のマネジメント能力が必要になる。「識学」のメソッドを基に若手リーダーのために書かれた『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社刊)は、これまでの理想のリーダー像を覆す
書籍『リーダーの仮面』では、リーダーは「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」という五つのポイントだけにフォーカスしてマネジメントすべきだと語っている。
リーダーが最初にやるべきことは「いいルール設定」であり、部下たちの「位置」を明確にして、ピラミッド組織に合ったマネジメント法を導入し、部下たちを「組織の利益」に向かわせ、プロセスではなく「結果」を重視し、健全な競争でチーム全体を「成長」させる。
「ルールに基づいて部下をけん引し、勝利に導いた後に、結果的に部下から信頼されるのが正しい姿で、そこではカリスマ性も人間的魅力も不要なのです」と安藤社長は強調する。