無理にリモートワークに切り替えなくても、
ある程度までは仕組みで解決
「オペレーター全員がリモートワークで対応しなくても、現状の悩みを仕組みで解決することは十分可能」と大竹氏は語る。全部を電話で対応すると限界があるが、そもそも顧客が電話をしなくてもいいようにすれば、問い合わせの数自体を減らすことはできる。
例えば「明日は何時まで営業していますか?」という問い合わせは、営業時間の情報をWebサイトに掲載するなど、事前にFAQを用意することで減らせる。また、質問への回答を事前に用意し、人間が回答しなくてもよい種類の問い合わせは自動的に回答するチャットボットを使うことも一案だ。問い合わせ件数自体を減らす(前工程)だけでなく、後工程でも自動化は役に立つ。昨今では会話の内容を文字に起こし、後で分析できるように自動的にタグを付けるようなテクノロジーも登場しており、オペレーターがレポートを入力する手間や時間を削減している。
問い合わせ対応そのものを効率化するなら、電話以外のチャネルで対応することも検討してはどうか。特にリモートワークで仕事をする場合、電話にこだわる必要はない。複数のデジタルチャネルを用意すれば、音声からチャットのようなデジタルチャネルに誘導して問い合わせを解決することも可能だ。大竹氏は「お客様とオペレーターが1対1になる電話に対し、テキストでは1人のオペレーターが複数のお客様へ同時に対応することもできる。また、対応時の“間”が気にならず、お客様のストレスにならない。電話と比べてコストも安い」と、テキストチャネルの利点を挙げる。
コンタクトセンターの新しいKPI
この話を裏付けるのが、Customer Effort Score(CES:顧客努力指標)と呼ばれるKPIを見ている企業が出てきたことだ。CESは、顧客がどれだけ自分で問題を解決できたかを示す指標である。ストレスを感じることなく顧客を解決に導くような優れた仕組みを提供しているか、コンタクトセンター運営の総合力が反映される。
今回の調査では、グローバルで60%がCESをモニタリングしていることが分かった。電話での待ち時間が長くなったり、チャットボットの答えが的を射ていなかったりすると、CESは高くならない。顧客サービス部門の人員数が現状維持である場合、問い合わせに効率的に対応できる仕組みの構築が必要だ。これからのカスタマーサービスには、 顧客に余計なストレスや不満を与えない仕組みの構築も必要だろう。
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