持株会社体制で新規事業を効率的に育成

――総合的なヘルスケアカンパニーに向けた新規事業について、具体的に進んでいるものはあるのでしょうか?

澤井 まず、前提としてジェネリック医薬品事業が基盤であるということは変わりません。今後、ジェネリック医薬品事業とのシナジーが見込める周辺領域に投資していく方針です。

 直近で進捗をお伝えできる新規事業は、三つあります。一つ目は、先ほどお話ししましたALS治療薬の新薬開発です。
 
 新規ALS治療薬の開発を目指すアカデミア(東海大学医学部)発の創薬ベンチャー、ニュージェン・ファーマ社との共同開発で、現在、米国での臨床試験に向けて準備中です。発売は米国で25年以降になる見通しです。
 
 オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の中でもALS治療薬は、治療満足度がまだまだ十分ではないという課題があるということと、米国での需要が一定規模あることから、チャレンジする価値は大きいと考えています。また、17年に買収した米国ジェネリック医薬品企業、アップシャー・スミス・ラボラトリーズの知見を生かせる可能性もあります。
 
 二つ目は、サスメド社との資本業務提携です。

 同社はデジタル医療を推進する研究開発型企業で、不眠症治療用アプリをはじめとする「医療用アプリ開発」に取り組んでいます。医療用アプリから得られるデジタルヘルスケアの知見は、幅広い分野の疾病治療への展開や予防に生かせるでしょう。また、ブロックチェーン技術を活用した研究開発費の削減などについても検討を進めていきます。
 
 三つ目は、ニューロリーフ社との片頭痛・うつ病向け非侵襲性デジタル医療機器の独占開発販売契約の締結です。

 同社は、本社がイスラエル、事業拠点は米国フロリダにあります。神経細胞に電気・磁気の刺激を与えて症状の改善を図るニューロモデュレーション機器は、日本ではあまり普及していませんが、薬物治療以外の選択肢として片頭痛やうつ病に対する治療の幅を広げられる可能性があります。日本での23年以降の発売に向けて医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請を予定しています。承認されれば、在宅で使用できるニューロモデュレーション機器として販売していく予定です。

――新規事業に関しては、持株会社体制によってどのような効果を見込んでいますか。

澤井 新規事業については、ジェネリック医薬品事業を主とする沢井製薬で育成するよりも、特定の事業や部門の利害の影響を受けにくく、グループ全体の価値向上の観点から経営判断を行える持株会社体制で育成するほうが、より速やかで効率的な育成が可能になると考えています。

 また、当社は経営の意思決定の迅速化・効率化を図るため、従来から執行役員制度を導入していますが、持株会社体制への移行により、ガバナンス体制の一層の強化とスピーディな業務執行が見込まれます。

 さらに、社員は既存事業や特定部門における経験だけでなく、持株会社「サワイグループホールディングス」傘下の事業会社で経営経験を積むことができるため、次世代のグループ経営人材の早期育成にも効果があると期待しています。

「サワイグループホールディングス」成長の原動力

――今後10年先を見据えた「長期ビジョン」を策定中とのことですが、どのような将来像を描いているのでしょうか。

澤井 これまで述べてきたように、基盤となるジェネリック医薬品事業は研究開発力にさらに磨きをかけ、安定供給に努めながらシェアアップを目指します。取り巻く環境は変化していますが、既存事業で培った強みを生かせるような新たな事業にも積極的に挑戦し、社会に価値を提供し続けたいと考えています。
 
 持株会社体制への移行後も、各社員がそれぞれの立場から「なにが一番患者さんのためになるのか。ひいては世の中の人々のお役に立てるのか」を考えて行動していく。それこそが総合的なヘルスケアカンパニーを目指す「サワイグループホールディングス」の成長の原動力になると考えています。

●問い合わせ先
沢井製薬株式会社
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5-2-30
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