「営業に成功する会社・失敗する会社の違いは、営業マネージャーにある」
大手から中小まで2000社以上の豊富なコンサルティング経験を持つソフトブレーングループの野部剛氏は、名選手が必ずしも名監督とならないように、トップセールスが優秀なマネージャーになるケースはきわめて少ないと言う。国内30万人以上を指南する辣腕コンサルタントが、「野村ID型」営業変革を伝授する。

野村流の強さは「再現性」にある!

――これまで2000社以上の営業コンサルをされてきたそうですが、営業の成果が上がらない会社に共通する特徴はありますか。

 失敗する会社には、下図のような7つの問題があります。

 これらに共通するのは、「営業マネージャーが本来の役割を果たしていない。(自分の役割を理解していない)」ということです。では、営業マネージャーの役割とは何か。

 現状を「科学的」に分析し、だれもが実行できる「再現性」のある実行計画を立てて、営業マンの行動を管理することです。ところが、それができる営業マネージャーはきわめて少ない。営業マネージャーに昇進するのは、ほとんどがトップセールスで、彼ら彼女らの多くは野球に例えれば長嶋茂雄監督のような天才タイプなんですね。

 天才は、カンやひらめきで行動しているので、「なぜ自分にできて、他人にできないか」がわからない。そのため部下を指導する際、「もっと気合いを入れろ!」といった精神論や「ガンガン訪問しろ!」といった抽象的な表現になってしまいがちです。

 それに比べて、「ID野球」で知られる野村克也監督は、現役時代から自分なりの理論をつくり上げていました。昨年、巨人は、その野村監督のもとで指導を受けてきた橋上秀樹氏を1軍戦略コーチに、秦真司氏を1軍バッテリーコーチに招聘し、「野村ID野球」を導入しました。今季の巨人の強さはご存じの通りです。

 ノムラ流の強さは科学的、つまり「再現性」があるということです。理論に基づく指導をすれば、別の人間に自分と同じことをさせることができるのです。