営業プロセスの「見える化」を実現するには?
――営業プロセスを重視するマネジメントで、部下たちが同じ目標に向かって行動するようになるのでしょうか。
その前提は、現状を「数値」で把握し、全員で共有することです。たとえば、本気でダイエットしたければ、毎日体重を測る必要がありますよね。ところが、この「測る」ことができない会社が実に多いのです。体重計なしでダイエットしたいと言っているようなものです(笑)。
ベストセラーになった『いつまでもデブと思うなよ』(新潮新書)は、体重を測って記録するだけで何十キロも痩せたという体験談です。当社が提供する営業支援ツール「eセールスマネージャー」は、体脂肪や内臓脂肪がわかるスキャン装置がついた体重計のようなものです。スマートフォンから活動状況を入力するだけで、KPI(重要業績評価指標)の達成状況がわかるし、前年比なども自動的にグラフ化されます。
リアルタイムで今の状況がわかるから、ちょっと軌道からはずれているなとか、達成率が悪いなと思えば、即座に次の戦略が立てられます。営業マンはeセールスマネージャーにアクセスするだけで、仲間と比較した自分の立ち位置や進捗状況を自覚します。それを日々確認しながら、自分の取るべき行動を自発的に考えるようになります。営業マネージャーの叱咤激励より、数字は雄弁です(笑)
スマートフォンの普及は、情報を共有し、営業プロセスの「見える化」を容易にする後押しをしてくれます。ITという武器を最大限に利用することも、営業マネージャーに要求される資質の11つと言えるでしょう。
実際、eセールスマネージャーを活用したお客様は昇進が早いという結果が出ています。あるIT系企業では、導入に際し各拠点の営業マネージャーから猛反対にあい、営業最下位・最若手の拠点長だけに試験導入しました。結果は……なんと、法人にガンガン売れて、半年で全拠点で成績トップに立ったのです。いまやeセールスマネージャーが全社導入されるだけでなく、その若手拠点長は年上の先輩を牛蒡抜きして執行役員になっています。
最後に、冒頭で紹介した「失敗する会社の共通点」の3番目「仮説がない。目標に直結した行動計画がない」を思い出してください。「目標に直結した行動計画」をつくるには、目標から逆算して「仮説」を立てることが必要です。ところが、これがなかなか難しい。まず自社の業務プロセスのどこにボトルネックがあり、どのような原因によるものかを突き止めなければなりません。
eセールスマネージャーはそのためのデータ類を瞬時に提供します。それをベースに、営業マネージャーが仮説を立て、だれもが「再現」できるプランに落とし込む。ある会社では、成約率を上げるための仮説・検証を繰り返し、最初は失敗続きでしたが、最終的に「成約率3倍」を達成しました。これに貢献した営業マネージャーの右腕が、実はeセールスマネージャー。成果は数字にとどまりません。みずから課題を解決する営業マネージャーを鍛え上げたことが最大の成果といえるでしょう。
eセールスマネージャーを有効に活用できるかできないか? は、営業マネージャー自身に仮説があるかないか? によって決まってしまうと申し上げても過言ではありません。そういう意味では、 eセールスマネージャーは一種の“リトマス試験紙”のようなものです。逆にいえば、毎日そうしたい数値に基づいた仮説思考を鍛えられるという意味では、eセールスマネージャーは、営業マネージャー・リーダーのための“トレーニングツール”とも呼ぶことができますね。