ローコード開発に対応したデータベースソフト「FileMaker」(ファイルメーカー)や、ワークフロー自動化プラットフォーム「Claris Connect」(クラリス・コネクト)などを提供するClaris International。2019年8月に社名をFileMakerから創業当初のClarisに戻し、由来するラテン語のように、“輝く”(Claus)未来へ顧客企業とともに歩む決意を新たにした。アジャイルな経営が企業に与えるインパクトについて、ブラッド・フライターグCEOに聞いた。

あるべきメンバーを揃え
能動的に動く組織をつくる

編集部(以下青文字):Clarisといえば、グーグル元CEOのエリック・シュミット氏らが書いた『1兆ドルコーチ』の主人公であるビル・キャンベル氏が、初代CEOを務めた会社です。シリコンバレーで多くのCEOたちに慕われ、伝説のコーチと呼ばれるキャンベル氏の組織論は、いまでもClarisで生きていますか。

アジャイルな組織は失敗を学びに変えおのずから変革し続けるClaris International CEO
ブラッド・フライターグ 
BRAD FREITAG
Roambi(現SAP)、Hyperion Solutions(現Oracle)、IBMなどの上級管理職を経て、2013年ワールドワイドセールス担当のバイスプレジデントとしてFileMaker(現Claris International)に入社。2019年CEOに就任。

フライターグ(以下略):その本は、私も何度も読み返しています。読むたびに、さまざまなインスピレーションを与えてくれます。

 本にも書かれていますが、ビルが経営において重視したのは、一人ひとりの社員や組織が堅い意志を持つこと。そしてレジリエンスを持つことです。そしてこの2つの点が、彼の考え方の中で私が最も共鳴するところです。

 彼が組織に与えた影響や、行ってきたアプローチは科学的に検証され、大規模な組織を運営するに当たって有効であることが証明されています。ですから、私も彼から学んだことをできるだけモデル化して、日々の経営で実践するようにしています。

 たとえばビルは、あるべきメンバーが揃ったチームをつくり、そのチームが前向きに動けるようにコーチングをすることに力を注ぎました。彼自身が問題解決するのではなく、黙っていても問題解決してくれるチームをつくることが大切だと考えていたのです。

 私もCEOに就任してから、エンジニアや営業、製品担当、マーケティング担当といったそれぞれの職種に適切な人材を配置し、適切なチームを編成したうえで、そのチームが能動的に動けるように導いています。

 そこまでやれば、私が関与しなくてもチームが適切に問題解決してくれるようになるわけです。

 CEOに就任されてから新型コロナウイルスの感染拡大で世の中に大きな変化が訪れていますが、Clarisのビジネスにはどのような影響が生じていますか。

 新型コロナの感染が広がる以前から、Clarisにはさまざまな課題に対応する準備ができていました。ですから、もちろん大変な状況ではありますが、当社はうまく対応できていると思います。

 たとえば、かつては対面で行っていた社内コミュニケーションを、感染拡大後はすべてリモートで行わざるをえなくなりました。そうした変化を受け入れながらも、当社は生産性を上げることができました。

 プラットフォームの改善を求める顧客企業に寄与した件数など、さまざまな評価指標を見ると、働き方をリモートに切り替えた後のほうがパフォーマンスが上がっています。

 そもそも、Clarisがプラットフォームやテクノロジーを提供するうえで大切にしているのは、Adoptability(適合性)です。

 たとえば当社の開発者は、常にユーザーの要求に基づいて迅速に機能を追加することを求められています。そうしたニーズに柔軟に対応する適合力が、新型コロナによる急激なビジネス環境の変化の中でも発揮できたのではないかと思います。