組織のわくわく感が
DXを加速させる
アメリカでも新型コロナの感染拡大が企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を加速させたと聞いています。
アメリカに限らず新型コロナの感染拡大が、すべての企業のDXを加速させたことは間違いありません。しかも、その動きは非常に急激なものでした。
もちろんClarisも例外ではありませんが、それ以上に、当社のお客様において加速化の傾向がより顕著に表れています。
最もDXが加速化している業界の一つは、製造業です。多くのメーカーには、自分たちがつくり上げてきたレガシーシステムや業務プロセスがいくつも存在し、それがDXを妨げる大きな障害となってきました。
そうした中で、いち早くDXを推進している製造業は大きな恩恵を受けています。
日本の例で言えば、長野県の信州ハムは、市場環境の変化とともに浮かび上がった課題を解決するため、6年前にDXを始めました。
この会社の取り組みが特徴的なのは、システム開発を社外に委託することなく、社内スタッフに当社が提供するローコード開発のトレーニングを行って内製化したことです。
在庫管理から製造、包装に至るまでのシステムを社内で開発したことで、状況の変化に応じて柔軟に改善できる環境が整ったのです。その結果、業績の向上を達成できました。
日本の労働生産性は他の先進国に比べて低いとされていますが、信州ハムと同じようにローコード開発を学び、変化に対応しながらアジャイルにシステムをアップデートできるようになれば、生産性の向上に寄与するのは間違いありません。
当社は、そうした取り組みを支援する「Claris Academy」という教育・訓練の場を提供していますし、世界1500社に及ぶパートナー企業とも連携しながら、お客様がシステム開発を内製化するための支援を行っています。
日本では、経営陣がアジャイルな意思決定ができないことや、失敗を許容しない文化があることも、DX推進の障害になっているといわれています。
CEOがアジャイルのもたらす価値をよく考え、その価値の重要性を組織全体でしっかり共有することが大切だと思います。
一緒に考えることで、現場も「いま、何をしなければならないのか」という問題意識を持ち、優先順位付けをしながら取り組めるようになるのです。
物事にアジャイルに取り組む組織ができれば、おのずと失敗を受け入れる文化が醸成されます。「失敗は学びの機会である」ということに気づけば、恐れることなくチャレンジし、変革し続けられる組織になれるのではないでしょうか。
日本の経営者の皆さんには、まずは組織のレジリエンスを高めること、そして、「DXにすべてを注ぐ」という明確な意思を固めることを提言したいですね。
日本は中堅・中小企業が圧倒的に多いそうですが、軽いフットワークを活かしてDXに取り組めるという点で、むしろ大企業より有利なのではないかと思います。実際、取り組み始めてから、1年足らずでDXを実現できたという事例も少なくありません。
DXで大切なのは、「まず始めてみること」です。小さな一歩からでも始めてみて、効果を実感できれば、それが組織のわくわく感につながって、よりいっそうDXが加速するはずです。
* CASE 製造業のDX
「現場の苦労や課題を知るからこそ アジャイル開発を成し遂げられた」に続く
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