法人向け保険主体から、個人向け保険主体へとビジネスの転換を図っているFWD富士生命保険。大手保険代理店のトップを経て、2021年1月に就任した山岸英樹代表取締役社長兼CEOに、今後の経営戦略について聞いた。

山岸英樹(やまぎし・ひでき)
FWD富士生命保険
代表取締役社長 兼 CEO
■1996年、情報通信業の光通信に入社。2005年HGパートナーズ代表取締役、07年フロンティア代表取締役、NFCホールディングス代表取締役を歴任後、ウェブクルー、保険見直し本舗、みつばち保険グループ、Patch、TSLABOの取締役を務め、19年ニュートン・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役。20年NFCホールディングス取締役社長を経て、21年1月より現職。

──まずは、社長就任の経緯についてお聞かせください。

山岸 当社は、2019年から、従来の法人向け保険を主体とするビジネスを、個人向け保険を主体とするビジネスへと転換を図ってきました。それをさらに推進するため、大手保険代理店でマルチチャネルを活用しながら個人向け保険を拡販した私の経験と知見、ノウハウを生かしてほしいと入社を要請されたのです。

 また、当社は伝統的に生命保険(第一分野)が強いのですが、前職で扱っていた医療保険やがん保険など(第三分野)を強化していく予定です。

 20年度第3四半期は、対前年同期比で、保険料収入が5.5%増、新契約年換算保険料は18%増加と、一定の成果を上げています。この勢いをさらに加速させ、保険料収入や総資産の大半を個人向けにすることが当面の役割だと自認しています。

──親会社であるFWDグループは、日本の個人向け保険市場をどのように捉えているのでしょうか。

山岸 FWDグループは、香港・マカオやタイ、インドネシアなどアジアの10地域で保険ビジネスを展開しています。その中でも世界有数の巨大な保険市場である日本を、戦略的に重要な市場と位置付けています。

 少子高齢化やそれに伴う人口減少によって、国内の保険市場そのものは縮小しています。しかし、当社の最近の新契約は、ミレニアル世代の契約者が多いのが特徴です。ライフステージの変化に合わせてストーリー性を持った商品を提供すれば、契約者のLTV(ライフ・タイム・バリュー)を上げながら成長を持続できると確信しています。