マンション長寿命化にエレベーター改修は必須
エレベーターの法定耐用年数は17年だが、概ね20年を経過したエレベーターは、機能、安全性、見栄えの面からも改修することが望ましい。そのことを鈴木氏は自動車に例える。
「街中で20年前に新車で売り出された自動車を見かけることは、実に珍しいことです。1年365日24時間稼働できる状態にあるエレベーターも"乗り物"です。定期的なメンテナンスがいかに完璧であっても、自動車がそうであるように、機器や意匠の老朽化と共に、最新のテクノロジーと安全性能の技術的進化も著しい。マンションの法定耐用年数は47年といわれていますが、エレベーターはそれ以上早く、公共性が非常に高いので、放っておくとマンション自体の資産価値は著しく損なわれてしまいます」
国土交通省は、2009年の建築基準法改正で、新設のエレベーターに関して、扉が開いたまま動くことを防止する戸開走行保護装置や、地震の際の閉じ込めを防止する地震時管制運転装置の設置を義務付けた。つまり、それら装置の設置が義務付けられていない改正以前に据え付けられたエレベーターには、ドアが開いたまま動いてかごと天井の間に人が挟まる危険性や、地震時にエレベーターに閉じ込められる危険性があり、所定の安全装置が設置されていない場合、既存不適格となってしまう。
「エレベーターは、ご利用者に安全安心を徹底することが最も重要です。マンションの長寿命化を図り、安全強化のために、エレベーターの改修が不可欠であるという認識を、マンションのオーナーさま、居住者の皆さまにもお持ちいただきたい」と、鈴木氏は強く願っている。
特に古いエレベーターについては、電気および機械部分、ドア周り部品にも危険性があり、少しでも早く部品を交換する必要がある。メーカーの部品供給期限は25年ほどで、これを超えると交換する部品がなくなり、修理もできなくなるのだ。