IoTセンサーやBIとも連携
経営のデータ活用が進む

 小口氏は、原料から最終製品に至るまで、全部で11ある工程のトレーサビリティが格段に向上したことを高く評価している。

 「以前は紙の日報を引っくり返して、どの原料がどの製品に使われたのかを確認しなければなりませんでしたが、いまは新生産管理システムですぐに特定できます。将来的には本社工場内の製品在庫や物流拠点の在庫まで追跡の幅を広げていきたいと思っています」(小口氏)

 信州ハムは、FileMakerを使ってこれまで全部で15のアプリを開発している。IoTセンサーと連携する機能を使って、加工肉の熟成工程における温湿度管理を行うシステムもその一つだ。最適な温湿度調節で、ほどよく白カビがついた熟成サラミをつくるなど、新商品の開発にも結び付いた。

 新生産管理システムで収集したデータを経営の意思決定に活用するために、FileMakerとBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを連携させる仕組みも構築した。これにより、データをすぐに集計し、グラフとして出力するなど、さまざまな切り口でデータを活用することが可能になった。

 「一つのライセンスで、いくつものアプリを開発できるコストパフォーマンスの高さは、FileMakerの大きな魅力の一つです」と土屋氏は語る。

 多額のIT予算を投じなくても、レガシーシステムをリプレースし、データに基づく意思決定ができる柔軟なシステムを開発できることは、信州ハムが証明しているといえるだろう。

 「自前でシステムをアジャイル開発できるなんて最初は信じられませんでしたが、チャレンジしてみようという思いさえあれば、どの企業にとっても可能だということがわかりました。金額には換算できませんが、経営のスピードアップを実現できたことは何よりの成果です」。小口氏は最後にそう締めくくった。

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