企業も個人も「得意技」で
勝負する時代

内田和成
早稲田大学ビジネススクール
教授

 内田教授によると、日本企業が急速にグローバル化を推し進めなければならなくなったのには三つの理由があるという。ひとつ目は「日本マーケットが縮小したこと」、二つ目は「世界レベルで情報格差がなくなったこと」、三つ目は「国と企業と人という三位一体の成功モデルが崩壊したこと」。かつてのような日本共通の勝ちパターンが存在しない時代だからこそ、これからは企業も個人もオリジナリティ、つまり「得意技」で勝負することが重要だという。

 では、実際に企業はどのように得意技を活かし、世界で戦っているのか。

 北米やアジアを中心に海外展開を進めるファミリーマートの小﨑氏は、「コンビニというビジネスモデル以上に、日本の得意技であるサービスという価値を世界に伝えることに意味がある」と語った。

 10年前にスイスのロシュグループと大胆な戦略的提携を行なった中外製薬の岡本氏は、「自社の強みを活かしながら、ロシュの良い面を取り込むことができた。グローバルなアクセスを手に入れたことは、組織にとっても社員にとってもさらなる強みとなっている」と語った。

 また、M&Aにより、グループ従業員6万人のうち半数近くが外国人となったNTTデータの東川氏は、「文化が違う人たちと一緒に仕事をするときには、必ずしも自分たちのやり方を押し付けるだけではなく、現地流と日本流を状況に応じて使い分けることが必要だ」と語った。