大切なのは自分の
「軸」を持てるか

 議論は、「語学の役割」にも及んだ。大学生たちの間では「語学力は不可欠」という意見が大半だったが、中には「語学はあくまでもツール」という意見も。それに対し、企業担当者から、「語学はツール以上のもの。文化の異なる人たちに自分の意見をきちんと伝えるためにも、一定レベルを必ず身に付けるべき」という意見も出された。

 また、イギリスで4年間暮らした経験を持つ上智大学の溝部さんは、「帰国して改めて感じたのは、日本人が自分の意見を相手に伝えるのが苦手だということ。イギリスでは意見が対立してよくケンカもしたが、いま思えばそれが良い経験になった」と語った。

 最後に内田教授は、「語学はビジネスの入場券。仕事をするうえでは必要なものだが、それほど優秀でなくてもいい。ただし、その時に大事になるのが、自分の軸を持っているかどうか。つまり、専門性を持っているか。それがグローバル人材に必要な要素であり、そうした選択肢を多く与え、社員を成長させてくれる会社が本当のいい会社である」とアドバイスした。

 それを聞いた慶応義塾大学の佐藤君は、「大事なのは、グローバル人材ありきではなく、自分が何をやりたいか。やりたいことがグローバルでないと実現できないのなら、進んで海外に行くべきだ」と言い、同じく慶応義塾大学の松本さんは、「要は自分自身で何を選ぶか。早く壁を越えて、一歩を踏み出したい」と語った。

 グローバル人材の本質は人それぞれながらも、自分の「軸」を持つことの大切さを全員で再認識した座談会となった。