ブラックバイカラーに際立つ
スポーティーなコントラスト
文字盤はこれまでのラッカーダイヤルに、新たにヘアライン模様を施し、シャープなメカニカル感を増す。18Kピンクゴールド×セラミックケース、ケース径41mm、3気圧防水、スモークグレーダイヤル、ラバー加工ストラップ。495万円(税込み)
ここであらためて、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」のデザインについて確認しておこう。時計の王道ともいえるラウンドケースに、現代的な基準に沿う41ミリメートル径というサイズからは、コンテンポラリーなドレスウオッチであることがうかがえる。
しかし側面に目を移すと、印象は一転する。ベゼルとケースバックの間にはミドルケースが挟まれ、別体構造になっている。しかもミドルケースはブランドのアイコンである八角形をかたどり、これをまたぐように設けたラグは構造体を支えるフレームを思わせるのだ。こうした細部に秘められた斬新なデザインは、深遠たるコレクションの魅力を読み解くコード(暗号)にもなっているのである。そして新作クロノグラフはまさにその新たな扉を開いた。
新機軸となったのが素材だ。ミドルケースにコレクション初のブラックセラミックを採用し、ゴールドのベゼルとケースバックとのバイカラーを彩る。これも別体構造というケースの特徴を生かし、あらためてその個性を強くアピールするのである。
セラミックは今や多くの時計ブランドが採用する先進素材だが、その可能性は未知数。オーデマ ピゲも今回セラミックをはじめ超硬素材の高精度製造を行うスイスの専門企業、バンゲーター社と提携した。独自の組成から生まれたセラミックのミドルケースは、八角形のシェイプと2種類の繊細な仕上げがひときわ美しく映える。
もう一つの素材として見逃せないのが、ストラップに用いたラバーだ。テキスタイルモチーフを施し、カーフレザーにコーティングすることで、一見するとカジュアルなラバーストラップのようでいて、上質なレザーの着け心地が味わえる。もちろん水ぬれや汚れ対策が施されている。このラバー加工ストラップはブラックとライトブルーの他、カーキ、グリーン、グレー、バーガンディをそろえ、同コレクションに対応する。季節やファッションに合わせて多彩に楽しめるのだ。
細く優美な多針を備えたクロノグラフは伝統の様式美が漂う。これに対し、スモークダークグレーの文字盤には、ケースのライン仕上げと平行に並んだ美しいヘアラインが施され、ブラックセラミックのバイカラーとラバー加工ストラップを組み合わせることで、がぜんスポーティーさが際立つ。その絶妙なコントラストは、多様化するライフスタイルに応えるとともに、腕元の新たなビジネスコードにもふさわしいのである。