同社の強みは幾つもあるが、同社の鈴木健博営業本部長はまず「建築確認検査の事前相談」を挙げる。建築物は法律や条例の厳しい規制を受けるので、「お客さまが想定する建物が建築基準法に適合するかどうか事前相談に応じることで、お客さまが想定する利益や収益の確認ができ、建築中や建築後に発生しがちな問題を事前に顕在化させて解決することができる」と言う。
また、事前相談で問題点が見えた顧客は、建築確認検査を申請する時点では問題を解決したプランで申請ができるため、審査期間を短縮でき、建築スケジュールも早く確定できて、資材の発注なども効率よく行うことができる。
保有不動産の資産価値
査定に役立つレポート
新築時だけでなく、保有する建物、工場といった既存の建築物に対しても同社の支援が受けられる。例えばM&Aでデューデリジェンス(資産査定)を行うとき、売り手側企業が保有する不動産価値を適正に評価する「エンジニアリングレポート(ER)」が役に立つ。ERの項目は対象建築物の遵法性調査、建築物の劣化診断、将来必要となる修繕更新費用の試算、人体に有害なアスベストやPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの環境診断、所在地の土壌汚染リスク、地震リスク評価(PML=予想最大損失額)など幅広い。
同社川添崇正事業本部長は、「建築確認検査業務の知見に裏付けされたERの精度の高さが強み」だと言う。「調査項目はロングライフビル推進協会(BELCA)のガイドラインに準拠していますが、各項目をどこまで踏み込んで調査するかというレベル感は各社さまざまです。当社は現行の法規基準はもちろん、過去の法規基準までさかのぼり、精度が高いERを提供しています」と言う。
ERは買い手、売り手、融資の立場となる一般企業、金融機関、設計会社、弁護士事務所など多方面で活用されている。
「ERの役割は法的リスク、劣化リスクなどリスク全体を見通すことです。ERは米国で投資ファンドが活用し、日本でもJ-REITなどに活用されるようになりました。投資物件にリスクがない、あるいはあったとしても解消できるということがERで確認できれば、不動産を証券化できるのです。その有効性が注目され、今では広く利用されています」(川添事業本部長)