【事例2:エル・アイ・シー】
熱意と技術力とECで
女性用腹巻を看板商品に
「オーガニック素材の肌着を身近に」が、エル・アイ・シーのコンセプト。『Sowan(ソワン)』というブランドを持ち、現在の売れ筋は女性用腹巻をはじめ、ハンドウオーマーやレッグウオーマー、インナーウエアなど、冷え性対策の商品だ。“温活”などといった切り口でも自社商品を訴求。最近は子ども・ベビー用の商品も開発し販売している。
「元々は靴下を製造するメーカーでしたが、靴下とほぼ同様の編み方で作れる腹巻も手掛けてみようと、腹巻専業メーカーの塩山メリヤスさんと25年ほど前に協業を始めました。最初は商品を卸してもらう取引でしたが、“体が冷えやすい女性にこそ腹巻を着けてもらいたい”という思いが私にあり、女性用腹巻の製造を提案したんです」(代表取締役・船原政一氏。以下、同社のコメントは全て船原氏)
靴下業界と腹巻業界は商慣習も流通販売形態も全く違ったため、当初は「何言ってんねん」となかなか取り合ってもらえなかった。先方の社長や職人さんと意見が合わず衝突することは協業開始から日常茶飯事だったという。しかし船原氏は、塩山メリヤスの高い技術力が女性用腹巻製造に生きると信じていた。
「塩山メリヤスさんには昔ながらの希少な織機があり、練達の職人さんがいます。機械の調整を細かく行い、編み目の密度を変えているんですよ。他の工場ではできない、素晴らしい手触りと柔軟性を持つ織物が作れる。その流れでいまはオーガニックコットンやシルクを使った女性用商品が主力になっています。『ソワンの腹巻は(品質が)違いますね』と言ってくださるお客さまも多いです」
船原氏の熱意と塩山メリヤスの技術力が融合・昇華して、女性用腹巻の製造販売は軌道に乗り、看板商品となった。“腹巻は男性が着けるもの”という常識が覆ったのだ。
ちなみに両社の間には長年の協業を通して確固たる信頼関係が築かれ、塩山メリヤスの社長の引退に当たり、船原氏は事業の後継者に指名された。