調査で明らかになったコロナ禍の健康リスク増大

日本生活習慣病予防協会
宮崎 滋理事長

 生活習慣病予防協会ではセミナーに先駆け、コロナ禍での生活変化により、生活習慣病リスクがどの程度変化したかを調査した(対象は、健康診断等で生活習慣病検査結果の傾向を把握している医師100人と、全国の20~69歳男女の一般生活者3000人)。その結果を、同協会の宮崎滋理事長が紹介してくれた。

 医師に「コロナ禍における健康診断・人間ドックを受診した患者の数値が悪化した項目」を聞いたところ、半数以上(55%)が最も悪化したのはHbA1c値とBMI値(体格指数:肥満度)であると回答している。そして、8割の医師が「コロナ禍で糖尿病のリスクが高まった」と警告している。

 

医師への調査結果
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 こうしたことから、長期化するコロナ禍において、知らず知らずのうちに「血糖負債」が蓄積していることの証左といえるだろう。
 
 一方で、一般生活者への調査によると、最もかかりたくない生活習慣病の1位は糖尿病であるという結果が出ている。にもかかわらず、HbA1c値が血糖値の医学的指標であることや糖尿病の検査方法に用いられていることを知っている人は36.8%にとどまり、6割以上の人がHbA1c値について知らなかった。さらに、HbA1c値が正常値を超えた場合、どのようなリスクが起こるかを理解している人は1割のみという結果となった。

一般生活者への調査結果
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 ただし、HbA1cが基準値を超えた場合や「血糖負債」がもたらす健康リスクについての説明を行った後に「自身のHbA1c値を知ることは重要か」と聞くと、約8割の人が「重要である」と答えている。同時に「HbA1c値が基準値を超えないようにコントロールしたい」と答えた人も約8割に上った。

自身のHbA1c値を知ることの重要性
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 ビジネスにおいても、リスクをきちんと理解しなければ、その対策は立てられない。自身の健康リスクに対しても、正確な情報とその理解が不可欠だ。その上で、自身に合った対策を取ってこそ効果は上がる。