第1回:多様な価値観を認め合う、グローバルマインドを育成する

今春、駒澤大学初の女性学長が誕生した。各務(かがみ)洋子学長は2006年のグローバル・メディア・スタディーズ学部の開設に尽力した人物。これを機に駒澤大学のグローバル化が加速する見込みだ。駒澤大学の“今”を紹介する全4回連載の第1回は、各務学長と世界的な視野で挑戦を続けるバイオベンチャー企業・ユーグレナの出雲充社長が、グローバルマインドについて語り合った。

 駒澤大学は元々グローバルのDNAを持っているのです」と各務学長は語り始める。

 駒澤大学は1592(文禄元)年に曹洞宗の僧侶が修学するための「学林」から始まった。その曹洞宗の祖である道元禅師は、危険な航海をものともせずに中国に渡り、さまざまな学びを得て帰国したチャレンジ精神あふれる“開拓者”だったのだ。

「現地に出掛けて肌感覚で世界を知ることが大切だと思います」 駒澤大学 各務洋子  学長(左)
■1959年東京都生まれ。米アリゾナ州立大学サンダーバード国際経営大学院修士課程修了後、米国の民間企業でコンサルティング業務に従事。その後、国際基督教大学大学院行政学研究科行政学専攻博士後期課程修了。博士(学術)。98年駒澤大学経営学部講師、2006年同大学グローバル・メディア・スタディーズ学部助教授、08年同学部教授、15年同学部学部長、19年学長補佐。21年4月より現職。専門分野は経営戦略論、グローバル経営論。
第1回:多様な価値観を認め合う、グローバルマインドを育成する 「海外に行かなければベンチャーを立ち上げることもなかったでしょう」 ユーグレナ 出雲 充  代表取締役社長(右)
■1980年広島県生まれ。東京大学に入学した98年にバングラデシュを訪れて栄養失調を目の当たりにし、「世界から飢餓をなくしたい」と決意して2005年ユーグレナを設立。同年世界初のミドリムシ食用屋外大量培養に成功。12年ダボス会議でヤング・グローバル・リーダーに選出。15年に第1回日本ベンチャー大賞「内閣総理大臣賞」受賞。

「そのチャレンジ精神は想像を絶します。私自身、ベルリンの壁崩壊以前のハンガリーに単身インターンシップに行った経験がありますが、道元禅師の比ではありません。一つ言えるのは、“実際に行ってみないと何も分からない”ということ。語学も大切ですが、グローバルの根幹は、やはり現地に出掛けて肌感覚で世界を知ることだと思います。学生たちには、現地で苦労してもいい、とにかく1人で海外に出ることを奨励しています」

「まったくその通りですね」と出雲社長は言う。出雲社長は東京大学在学中、バングラデシュを訪れて深刻な栄養失調の状況に衝撃を受け、それを解決する“魔法の食べ物”を探す中で、植物性と動物性の59種類の栄養素を持つミドリムシに着目し、バイオベンチャー企業「ユーグレナ」を設立した。

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