今後2~3年は
金価格の上昇が続く
FRBのベン・バーナンキ議長は、今の状況を「有事対応」と明言している。リーマンショック、欧州債務危機と、世界経済は今まさに有事下にある。有事だからドルの供給量を通常の3倍にも4倍にも増やす、異常なこともせざるを得ないというわけだ。
FOMC(連邦公開市場委員会)の声明文では、2015年半ばまでは量的緩和政策を続けるとある。2年以上も“執行期間”があれば、その間に金価格が2000ドルを超えても不思議ではない。瞬間的には、2200ドル付近まで上がる場面もあるだろう。だが、3000ドルや4000ドルになることはないといえる。
金鉱石
金の供給源には、鉱山会社が採掘する1次的供給源の他、腐食しない特性を生かした中古金スクラップなどの2次的供給源がある。その2次的供給源は、金価格が2000ドルを超えると加速度的に増える傾向がある。そのため、金価格は上値が重くなりやすいのだ。
加えて、欧州危機は落ち着きつつあるとはいえ、野球でいえば、まだ7回。一波乱あり得る場面だ。その上、真の有事には、金は売られる。金を売って現金に換えなければ、パンすら買えないからだ。
来年も2~3回は、金が下がる局面があるだろう。そうなればメディアは、「有事の金としての輝きを失った」と報じるかもしれない。だが、米国の量的緩和が続く間は、下げても一過性にすぎない。そこは、むしろ、買いのチャンスだ。
ただ、金は永遠に上がり続けるわけではない。問題は、いつ、どこまで下がるのか、である。