新興国の旺盛な需要も
金価格を支える

 金価格が下がるのは、金の出番がなくなったときだ。金はインフレ時にはインフレヘッジとして、デフレ時には安全資産としての需要で買われる。つまり、出番がなくなるのは、欧米の経済が回復に向かうときなのだ。有事が終わり、平時に戻れば、FRBはばらまいたドルを回収せざるを得ない。その瞬間から金価格は下がり始めるだろう。投機筋などは、それより早く、再来年後半ごろから金を売り始める可能性もある。

 結論をいうと、金は、今買っても、来年買っても、再来年買っても大丈夫だ。ただし、再来年の後半以降は、バーナンキ発言や米国のマクロ経済指標に注意し、売却を考え始めるべきだろう。

 また、金価格が長期的に下落することも考えにくい。中国やインドをはじめとする新興国の旺盛な需要があるからだ。事実、昨年の金生産量2822トンのうちの65%は、中国とインドが購入している。その他の国も含めると、75%を新興国の需要が占める。

 金価格が1500ドル付近まで下げる局面があれば、間違いなく新興国が金を買うだろう。しかも、欧米の経済が回復する場面では、中国やインドの経済は欧米以上に力強く回復し、2桁成長を達成すると推測される。そうなれば、新興国の金需要はさらに拡大し、金価格も上昇に向かうに違いない。