人間のひらめきを
ビジネスインサイトに変える

 現場人材がdotDataを使いこなす、わかりやすい事例はありますか。

 たとえば、ある球団が運営する野球場での物販です。フライドポテトの売上予測を取り上げてみましょう。

 最初は、とりあえず過去の売上POSデータ、ファンクラブ会員データなどをdotDataに分析させます。当然、精度が高くないので、今度は当日の天候や試合のスコアを追加してみることにします。すると、「曇りの日」で、かつ「5回までのスコアが0対0、もしくは0対1」の時に、売れ行き最多であることが判明します。つまり、「投手戦が続いて退屈なため、後半に向けて腹ごしらえをする気になる」→「3回裏の時点で0対0だったら、売店が書き入れ時になる」という推測ができる。よって、「4回表にスタッフ総力戦でフライドポテトを売りまくろう」といった戦略が可能になるのです。

 このように、思い付いたらとりあえずデータをdotDataに放り込んでみる。それが予測に意味のあるデータかどうかはdotDataが考えてくれるので、後は人間が結果を解釈し、実践すればいいわけです。

 人間のひらめきをdotDataに臨機応変に取り込むことによって、思いも寄らなかったビジネスインサイトが得られそうです。

 その通りです。ある金融会社では、どのような顧客が投資信託を購入するかをdotDataで分析したところ、予想とはまったく違う結果が出てきて驚いたそうです。「見込み客は富裕層の人」と思い込んでいたのに、過去の投資信託の顧客が利用していたクレジットカードの種類は年会費無料のものが最多で、しかも2週間以内に使った回数は10回以下が最も多かったそう。富裕層ではない利用傾向の方がコアターゲットだと判明したのです。

 このように人間の先入観によるバイアスで正しく予測できなかったケースでも、dotDataはAIで淡々とデータに隠された事実を探索してきます。人間には、その事実を正しく解釈して「知見」として活かすことが求められるのです。

 ものづくりの現場では、どのような成果が生まれていますか。

 たとえば横浜ゴム様では、設計開発プロセスにAIを活用する構想「HAICoLab」でdotDataを導入しました。タイヤの材料開発、製品開発の効率化や性能向上、さらに生産プロセスにおける品質の安定化などが期待されています。

 特に、性能や品質に影響を与える要因は無限に考えられる中で、労力と時間のかかる従来の機械学習では一つひとつ検証することは困難でした。一方、dotDataなら、思い付いた仮説を手軽に検証できる。しかも通常、機械学習の推論過程はブラックボックス型につき解明困難ですが、dotDataはインプットとアウトプットの関連性が数値で示される 「ホワイトボックス型」なので、どのインプットが効いているかは一目瞭然です。人間のひらめきとdotDataのデータ処理能力を掛け合わせることで、新たな知見が生まれているそうです。

イノベーションは
既存事業の延長線上で起こる

 企業は、既存事業を深化させ、新規事業を探求する「両利きの経営」が求められています。データドリブンDXはそれにどう寄与しますか。

 イノベーションは既存事業の延長線上で起こります。まずは既存事業の課題解決を目的に据え、トライ・アンド・エラーを繰り返しながらデータを分析することで、データ活用のカルチャーが根付き、ビジネスインテリジェンスが生まれる。それが新たな事業の芽につながります。

 DXの成否は、こうしたデータドリブンDXが握っています。そのカギとなるのは、データを活用しようと誰もが思う「カルチャー」にほかなりません。AIは、人間のひらめきを知見という形にし、失敗を恐れずアジャイル的に試してみることを可能にすることで、このカルチャーが根付くことを後押しします。その結果、人の発想はより豊かなものになるはずです。時代にふさわしいカルチャー醸成のため、新しい技術を存分に活用してほしいですね。

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NEC データドリブンDX事業部
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