三菱総合研究所は、革新的な技術による社会変革である「3X(スリーエックス)」と新たなコミュニティの「共領域」によって、50年後には豊かさと持続可能性が両立した社会が実現できると主張する。3XはDX(デジタル)、BX(バイオ)、CX(コミュニケーション)から成る。この連載では、3Xのコンセプトによるさまざまな変革事例について紹介していく。
第3回は「サステナブルフード」に注目する。世界的な人口増と経済成長に伴う需要増に対応するために、新たなタンパク資源の開拓・開発が進んでいる。BXを体現する省資源型のサステナブルフードは広く消費者に受け入れられるのか。その可能性を検討してみよう。
サステナブルフードとは何か
グローバルな人口増加と経済成長により、未来の食料危機が懸念されている。
特に肉については2050年には05~07年と比較して1.8倍の需要増 が見込まれ、食料供給に支障を来たす可能性がある。大幅な需要増が見込まれる一方、畜産は資源消費が多く、環境負荷も高い。
そこで注目されているのが、植物肉、培養肉などの「代替肉」だ。技術開発が進めば、畜産と比較して、土地利用・水利用・資源消費・炭素排出などといったトータルの環境負荷を抑えた生産が可能になると期待されているからだ。日本でもプラント・ベースド・ミート(植物肉)は普通のスーパーの店頭に並び、ハンバーガーチェーンなどでも提供されているのをご存じだろう。こうした環境配慮型の生産方法で作った食品は「サステナブルフード」と総称される。