Wi-Fiの品質を可視化する
以上のように、Wi-Fiがつながりにくい原因は、“Wi-Fi以外”も多く含まれている。
それを「見える化」するサービスとしてジェイズ・コミュニケーションが2021年4月に提供を開始したのが、マネージドWi-Fiサービス「Robo Wi-Fi」である。
これは、法人向けにWi-Fi接続のためのアクセスポイントを提供し、設定や運用までを月額料金制で支援するマネージドサービスだ。アクセスポイント1台当たりの月額基本料金は2980円(税別)から。アクセスポイントは最新規格の「Wi-Fi 6」に対応しており、LANケーブルに挿すだけですぐにWi-Fiが利用できる。
同様のサービスは、大手通信キャリアをはじめとするさまざまなICTサービスプロバイダーが提供しているが、月額料金が3000円を切るというのは、かなり手頃だといえるだろう。しかし、「Robo Wi-Fi」の魅力は値段の安さだけではない。
すでに述べたように“Wi-Fi以外”のつながらない原因を特定し、その影響まで判定する機能を備えているのが大きな特徴だ。
「Robo Wi-Fi」のサービスには、米国のネットワーク・セキュリティ機器大手、ジュニパーネットワークスが提供する「Mist AI」が活用されている。
このWi-Fiアクセスポイントは、ユーザーがWi-Fiに接続し、インターネットに出ていくまでに、どのようなイベントが発生したかについて、AIがログを解析して管理者が常にサービスの品質を把握できる仕組みとなっている。
記録されたログは、管理者用のダッシュボード上に「どんな障害が発生したのか?」「いつ起きたのか?」「何が原因なのか?」といった情報として整理され、ひと目で状況を理解し、適切な対応が打てるようになるのだ。
正木氏によると、このように“Wi-Fi以外”の原因も含めて「見える化」できるアクセスポイントは、世界を見渡しても「Mist AI」以外にない。
「Mist AI」のダッシュボード画面は、IT運用に関する知識や経験がさほど豊富ではない人でも、直感的に状況が判断できるように、分かりやすいUI(ユーザーインターフェース)を採用している。
「ユーザーの困り事」を出発点として障害に対処できる!
わかりやすい画面構成
しかし、それ以上にユニークさを感じるのは、利用者(ユーザー)目線でWi-Fiの品質を管理できる画面構成になっていることだろう。
「ダッシュボード画面の左側には、『接続までに要する時間(Time to Connect)』『接続しやすさ(Successful Connect)』『電波強度(Coverage)』といった、Wi-Fiのサービス品質を測定する7つの項目が並び、それぞれ80%、100%といったように達成度を示す数値が表示されます。AIが収集するイベントの情報を基に、リアルタイムな状況が把握できるようになっているのです」(正木氏)
その右の欄には、採点の推移が折れ線グラフで表示され、いつごろから状況が悪くなったのかを時間帯で見ることができる。さらにその右には、原因と考えられる項目が列挙され、それぞれの影響度がパーセンテージで示されるようになっている。
このように、まず「原因ありき」ではなく、「ユーザーの困り事」を出発点として障害に対処できる画面構成になっているのが大きな特徴だ。
正木氏は、「別の画面では、障害によってどのアクセスポイントや、どのユーザーの端末が影響を受けているのかを見ることもできます。ユーザーごとの状況を見ながら、きめ細かく障害に対処できるようになるわけです」と説明する。