JPF(旧:日本写真判定、今年4月に社名変更)の主要事業は、競輪場の再生やサイクルスポーツの振興である。なぜ同社がウェーブプールの事業を手掛けるのか。
「私たちは、競輪場の再生で地域の財政基盤づくりに貢献し、サイクルスポーツの振興を通して競技の普及強化や自転車の安全確保に取り組むほか、オフロードバイクのコース整備などで自然環境の大切さを啓発しています。ウェーブプールには、サーフィンの普及はもちろん、子どもたちの波打ち際のリスク回避訓練やライフセーバーのトレーニング、障がい者の体験などさまざまな利用法があります。サーファーに波を提供するだけではなく、地域活性化を含め、自然環境に親しむビーチカルチャーを創造できる。そこに当社の事業との共通点があると考え、ウェーブプールの事業に着手したのです」(久場氏)
効率的な運営が実現するウェーブガーデン社のシステム
ウェーブガーデン社は、サーフィンのための波発生システムやラグーンの設計・製造などを行う最先端のシステムエンジニアリング企業で、スペインに独自の研究開発センターを備え、ブラジルやスイス、韓国、オーストラリア、英国などで施設をオープンしている。JPFがウェーブガーデン社と提携した理由には、同社の製品システムの優位性がある。
「ウェーブガーデン社のシステムは、他社製のものと比較して波数を多く出せるのが特徴です。7~8秒に1波の間隔で、左右に大きな波を出すことができます。さらに初心者向けからチューブライドやリップアクションが可能なプロ向けまで、多彩な波を作ることができる。波数と波質で優位性を持ち、波に乗れる人数が多いので効率的な運営ができるのです」(久場氏)
そもそもウェーブプールには、自然の海にはないさまざまな利点がある。まず安全であること。天候に左右されず、安定的に波を供給するので、利用者には平等に波が与えられる。初心者にとっては、パドリングで沖合に出る必要がなく、波の“取り合い”も発生しないので、サーフィンへのハードルが下がる。上級者にとっては、規則的な波が発生するため技の練習が効果的にできる。最近は技術革新で、限りなく自然に近い波が作れるようになった。水は真水なので、体がべとつかず気軽に楽しめることも大きなメリットだ。
JPFが推奨する基本計画エリアは、フルサイズのウェーブプールと付随の建物を含めると約4万平方メートルの面積。長さ160メートルの側壁と200メートルの中央壁を設け、中央壁の両側にプールが扇形に広がる構図となる。おおよその水量は2万5000立方メートルで、平たんな土地であれば、立地は海沿いに限らず都市部や内陸部などでも設置可能だ。システムの総費用は約60億円になる。