創業100周年を迎え、さらに飛躍する企業へ。「人財を大切にする」企業が選んだものとはイトーヨーカ堂 人事室採用教育部総括マネジャー山本正幸氏(左)、人事室採用教育部マネジャー長嶋将士氏(右)

セブン&アイ・ホールディングスの中核企業、イトーヨーカ堂。1920年の創業以来100年を経て日本の小売業を牽引してきた同社でさえも、ネット販売の台頭、コロナ禍の逆風により近年は成長が鈍化し、変革を余儀なくされている。この現状を打破し、さらなる企業成長を遂げるためには、過去の経験や発想を捨て、自分で考え行動できる「自律型人財」を育成することが必要なのではないか。創業100周年を迎えた同社が、新しい価値を創造し顧客に届けていくためさまざまな改革に取り組む中、選ばれたのが、グロービスが提供する動画学習サービス「グロービス学び放題」だった。

お客様に選ばれ、末永く支持されるために。
その鍵を握るのが「自分から考え動ける」人財

 コロナ禍によって、消費者の消費行動は大きく変化した。感染拡大を防ぐために外出は最小限にとどめ、ネット販売を活用する。また、複数のお店を回る「買い回り」をせずに、一カ所ですべての買い物を済ませる「ワンストップショッピング」へ。

 消費行動が変わったからといって、接客も必要最小限にとどめ、失礼さえなければいいというわけではないと、イトーヨーカ堂人事室の山本正幸採用教育部総括マネジャーは言う。

創業100周年を迎え、さらに飛躍する企業へ。「人財を大切にする」企業が選んだものとはイトーヨーカ堂
人事室採用教育部総括マネジャー
山本正幸

「消費行動が変わってきているからこそ、接客を工夫して、お客様に選ばれるお店にならなければ生き残ることができません。それは、お客様が何を求めて、何に満足するのかなど、『自ら考えて動く』ことのできる人がいてこそ、です」

 イトーヨーカ堂は、国内ではトップクラスの売上規模ではあるが、バブル期以降、成長が鈍化。また社内では、仕事量の多さから、自ら動くというより指示された仕事を正確に遂行していくことを優先される風土があり、危機感を持っていたという。

「自分たちで考えて行動できる風土を、また自律した人財を育成していきたい。100周年をきっかけに、企業経営理念の『自律型人財育成』を実現するため、人財育成方針を大きく転換することにしたのです」

 もちろん、今までも業界屈指の手厚い研修制度があり、実際に成果を上げているのだが、山本総括マネジャーは「反省すべき点があった」と意外な言葉を口にする。

「まず、押しつけ型の研修になっているのではないかという点です。教育体系自体もそうなのですが、研修対象者の選定にも反省点がありました。例えば、研修対象者に選ばれても事情があって参加できない人、一方で参加して学ぶ気持ちがあるのに選ばれなかった人は、やる気を失ってしまいます。ですから研修対象者を選ぶ、研修場所に人を集めるという従来のやり方に改善の余地があると感じていました」