さまざまな形式で管理されたデータにもアクセスできる。Cachéは多次元配列でデータを格納するデータベースだが、二次元の表でデータを扱うRDBが使用する一般的なクエリ言語SQLでもデータアクセスができる。また、RDB以外の形式のデータアクセスにも幅広く対応。いわば「ハイブリッドなデータベース」として、多様な場所に多様な形で存在するビッグデータを効率よく活用できる。
高速リアルタイム処理でも卓越した性能を発揮する。Cachéは、関連性の高いデータを近傍に配置し、ひとかたまりのデータとして管理する。したがって、一度のアクセスで関連データをまとめて見つけることができ、レスポンスが速い(図2)。
「RDBをCachéに置き換えて、レスポンスが2倍になるのはごく当たり前のことです。大容量であるほど効果が大きく、10倍、20倍に高速化する例もあります」と植松社長は言う。
情報システムの競争力を
手に入れるための
「土台(システム基盤)」
ビッグデータという観点からのCaché導入事例の代表格が、欧州宇宙機関(ESA)が進めるガイア計画である。
フランスに本部を置くESAは、2013年に打ち上げ予定の衛星ガイアで収集されるデータを使って、銀河の立体的な宇宙地図を作成しようとしている。計画では、5年間で約10億個の天体を調査し、すべての星について約70回ずつデータを収集する。その全データを格納し、繰り返し分析して精度を高めるシステムの中核に、厳しい性能試験に合格した唯一のデータベースとして、Cachéが採用されたのである。
Cachéは、リアルタイム分析機能「DeepSee」、および言語解析技術「iKnow」が組み込まれているのも大きな特徴だ。データベースそのものに分析機能を搭載するため、外部でツールを用いる場合とは比較にならないほど素早く、ビッグデータを解析できる。
さらに、インターシステムズでは、Cachéを搭載したアプリケーション統合および開発プラットフォーム「Ensemble」も提供している。これにより、さまざまなアプリケーションと接続して、それらを活用した新規アプリケーションの短期開発が可能である。ビッグデータを活用して迅速に戦略を立て、迅速にアプリケーションを作り替え、素早く実行していく毎日が現実のものとなるのだ。
拡張性、多様性、スピード、そして、リアルタイム分析力、アプリケーションの迅速な開発、変更しやすさなど、さまざまな要素が一つに統合された情報システム基盤を構築して、10年先、20年先にも威力を発揮する「情報システムの長期的な競争力」を手に入れることができるのが、Cachéの力なのである。