インド、ベトナムなどとわが国の防衛関係も強化する必要がある。日米豪印4カ国の枠組みである「クアッド」の範囲を飛躍的に広げて集団防衛体制の問題を含めるとともに、クアッドそのものも拡大を検討すべきだ。さらにわれわれは、弾道ミサイルや核の技術をパキスタンや北朝鮮のような国々に拡散させる危険な政策について、中国にもっと責任を取らせる必要がある。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、6月の首脳会談で弱く衰えつつある米大統領を目の当たりにして自信を強めたのは間違いない。1961年にジョン・F・ケネディ大統領と会談した後のロシア指導者ニキータ・フルシチョフ氏を思い出す。バイデン氏がそれに続いて(ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン)「ノルドストリーム2」やアフガン問題で屈服したことにより、プーチン氏は今頃、満面の笑みを浮かべているはずだ。プーチン氏はイスラム主義者のテロが再燃するのを阻止するため、中央アジアで積極的に行動するだろう。だが同氏の長期的な関心は今もロシアに近接する欧州諸国に注がれている。

 プーチン氏が注目するのは欧州の混乱だ。欧州は地域紛争の復活を恐れている。米国が弱体化し、実質的に世界情勢から手を引いていることを懸念しているからだ。トランプ前大統領やバイデン氏が潮流を作るわけではないが(前者はアウトサイダーで、後者は典型的な民主党員にすぎない)、バイデン氏がアフガン撤退について北大西洋条約機構(NATO)同盟国への通知を怠ったことは、ただでさえ弱かった信頼関係を完全に打ち砕いた。「欧州流の」政治的・軍事的役割の拡大を求める声が高まるのは避けがたいが、それは過去の努力と同じ運命をたどるだろう。欧州連合(EU)は世界の戦略地政学的プレーヤーには決してなれない。いつも決まってリソースよりもレトリック(言葉)ばかりを繰り出すからだ。

 その結果、バイデン氏が自己満足の世界に引き戻したNATOは、アフガンを巡って同盟国を冷たく見放した。米政府が干渉しすぎたと非難し、後に十分干渉していないと非難するよりも、欧州はNATOの集団的自衛権を本気で尊重するのか、それともまね事にとどめるつもりかを決定する必要がある。ドイツなどが経済力に見合う水準の防衛力を身につければ、彼らの見解が重要になるだろう。それを待つ間、米国はNATO陣営に属する中欧・東欧諸国や、その周辺地域で脅威を受ける非NATO加盟国と協力し、プーチン氏の帝国主義的本能に対抗すべきだ。われわれの欧州での戦力配置もそれに応じて調整すればよい。

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