アフガンでの対テロ作戦、米軍駐留なければ至難Photo:Kent Nishimura/gettyimages

【ワシントン】ジョー・バイデン米大統領と側近は米軍がアフガニスタンから撤退した今、遠隔地からの監視と攻撃によってアフガン発のテロの脅威を遠ざけることができると約束している。しかし、テロ対策や情報機関の当局者は、それはホワイトハウスが言うよりもはるかに難しく、効果も薄いと述べている。

 混迷を極め犠牲者を出した米軍撤退が完了し、米国は武装勢力とその策略を追跡するための重要な資産の多くを失ったという。

 米中央情報局(CIA)やその他情報機関の工作員の活動拠点となっていた軍事基地などのインフラは失われた。米国が後ろ盾となったアフガン政府や、米情報機関と緊密に連携していたアフガンの国家保安局もなくなった。CIAに現場の情報を提供していたアフガン人諜報(ちょうほう)員や部隊も退避し、あるいは散り散りになった。

 米政府関係者は、5月に軍の撤退が始まる前まで無人機を使用して情報収集していたが、その能力の90%を失ったと認めている。

 バイデン政権の遠隔戦略に伴う危険性は29日に鮮明になった。米軍は無人機による攻撃で、爆発物を積んだ車の中にいた自爆テロリスト数人を殺害したと発表。だが現場にいた多くのアフガン人は、この空爆で子供数人を含む10人の民間人が死亡したと述べている。この攻撃は、カブール空港で200人近いアフガン人と米軍兵士13人が死亡した26日の自爆テロを受けて米軍が実施した2回目の攻撃だった。米中央軍は、民間人が犠牲になったとの報告について認識していると述べた。