ダイヤモンド社は9月14日、Miletos、ワークスモバイルジャパン、サイボウズ、Slack Japan、ビズリーチの協賛を得て、Diamond DX Summit 2021「真のDXを実現する『現場力』と『経営力』」と題したウェブセミナーを実施した。その中で、サイボウズの事業戦略室 kintone ビジネスプロダクトマネージャー、相馬理人氏が「現場と協調するDXの始め方」をテーマとした講演を行い、DXを推進する上で、現場と取り組むメリットや現場をうまく巻き込むポイント、DX推進リーダーとして最初に行うべき点などについて解説した。
「現場」を重視すべき理由、現場と取り組むメリットは何か
相馬 理人氏
東京大学を卒業後、2015年に新卒としてサイボウズのシステムコンサルティング本部に入社し、SEとしてパートナー企業への技術支援や社内教育に従事。SIerへの出向や、米国やベトナムなどの海外拠点支援を経験した後、帰国後はDevRel活動にも携わる。昨年4月よりkintoneのビジネスプロダクトマネージャーに就任し、プロダクトマーケティングやセールスプロセスの改善、カスタマーサクセスの立ち上げなどを行っている。
相馬理人氏は、まず、DXを推進する経営層やリーダーらが「現場と取り組むメリット」の重要性について語った。
そもそも「現場」を重視する理由は何か。現場と取り組むメリットはDXおいて、どんな意味があるのか――。
ここで、相馬氏が挙げた理由は、下記の通り。
◎環境の変化やボトルネックなど、現場にはさまざまな情報が集まる
◎DXのヒントやボトルネックになるポイントが分かる
◎そもそもシステムやツールを使うのは現場である
つまり、営業などの現場は、ビジネスの最前線であり、顧客ニーズや取引先からの要望、競合企業に関する情報などが多く集まる。
例えば「このお客さんのニーズに本格的に対応したら、他でも喜ばれそう」、あるいは「これまで1週間かかっていた承認作業を3日にすれば、競合他社より納品が早められ、競争優位性が増す」など、DXで改善すべきポイントやヒントも現場なら分かる、ということだ。
そして、相馬氏は「システムやツール、業務プロセスの変更もそうだが、結局、使うのは現場である」と指摘。
よくある失敗事例として「現場の方が『使いにくい、前の方が良かった』『なぜ、わざわざ新しくしたのか』などと不満を感じると、結局、上から言われた通りのことをやるだけになってしまう。その結果、『よく分からないから、前のままでいいや』となってしまう」と、DXの意義を現場に伝える重要性を強調した。
現場をうまく巻き込むための「三つのポイント」とは
では、そんな現場をうまく巻き込むためにはどうしたらいいのか――。
相馬氏は、以下の「三つのポイント」に整理し、それぞれ具体的に詳しく解説した。
(1)DXに取り組む理由が「現場に分かる形」で伝わっていること
(2)システムを「現場が使える/わかる」こと
(3)現場が「変化に」挑戦し続けられること
特に、この三つの中でも、一つの目の、「DXに取り組む理由が『現場に分かる形で』伝わっていること」については、先にも述べたが、非常に重要なポイントとして、ある有名な寓話を例に挙げながら説明した。