2021年のホリデーシーズン(年末商戦)がいよいよ間近に迫った。このチャンスをできる限り生かし、EC(電子商取引)の売り上げを最大化するために万全の準備を整えておきたい。そこで参考にしたいのが、オンライン決済プラットフォームをグローバル展開するペイパルが発表したe-book『ホリデーシーズンに向けて~繁忙期への備え方』(以下、ペイパルe-book)だ。その中から、年末商戦を勝ち抜くために「
今シーズンのオンライン販売額は昨年を上回る規模に
ホリデーシーズンはEC事業者においても“書き入れ時”というだけでなく、新規顧客を増やし、長期的な成長につなげるために非常に重要な時期だ。
ペイパルe-bookによると、2020年のホリデーシーズンにおける世界のオンライン販売額は前年に比べて50%増と大幅に増加し、1.1兆米ドル(119.9兆円、1ドル=109円換算)に達した※1。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)によってオンラインショッピングを新たに始める消費者が世界的に増えたことが主な要因だ。実際、20年第4四半期における世界の商品検索回数は前年の3倍に膨らみ※2、オンラインへのシフトが大きく進んでいることが分かる。
すでにオンラインでの購買習慣は定着しており、「コロナ禍後に以前よりもオンラインショッピングを利用する」と考えている消費者は58%に上るというアンケート結果もある※3。そうしたことから、今シーズンのオンライン販売額は20年を上回ると予想されている。EC事業者にとっては引き続き今年も大きな収益チャンスとなるだろう。
※1 Salesforce、2020 Holiday Shopping Report、2020年1月。
※2 Google 内部データ、Retail playbook: Key Nordics and Benelux stats for the 2021 holiday season、2021年6月。
※3 Salesforce、State of the Connected Customer Report、第4版、2020年。
コロナ禍で人気のカテゴリーは「玩具」と「ヘルスケア」関連商品
ホリデーシーズンのチャンスをしっかりつかむには早めに準備しておくことが大切。ECの売り上げを最大化するには、デジタルエンゲージメントやパーソナライゼーションの強化、購買動向に合わせた在庫管理などが求められる。それには、買い物客の好みの変化を把握することが必要だ。
例えば、ペイパルのデータによると、最近の購買動向には次のような傾向が見られる。
21年第1四半期にペイパルのスモールビジネスの加盟店が海外と国内のユーザーに販売したカテゴリーの各トップ5は、海外ユーザーが「カメラ」「ファッション」「玩具」「コスメ」「ジュエリー」、国内ユーザーは「教育」「ファッション」「ヘルスケア」「コスメ」「食料品」。
海外ではロックダウンの影響で米国を中心に日本のフィギュアなどの玩具が人気に。一方、国内ではオンライン英会話・研修など自宅で学べる教育コンテンツの人気が高まっていると推測される。
20年第2四半期(=コロナ禍初期)と21年第1四半期を比べて、ペイパルの国内ユーザーの間で急激に売り上げを伸ばしているカテゴリーのトップ5は、「玩具」「ヘルスケア」「ファッション」「サプリメント」「コスメ」。巣ごもり需要で玩具がトップになる一方、長引くコロナ禍の影響で健康関連商品の需要が高まっていることが分かる。